LNG関連事業を加速させる丸紅、今度は露ロスネフチと提携

2013年04月19日 14:51

 2011年の震災に伴う原子力発電所の事故を受け、事故前の2010年は約7000万トンであったものが2011年には約7850万トンへと約12%増加し、今後も増加傾向が続くと見られる日本のLNG(液化天然ガス)輸入量。LNGに対するニーズが高まっているのは日本だけにとどまらず、世界需要も2010年は約2億2000万トンであった需要実績が、2035年には4億5400万トンにまで増加すると予測されている。需要が高まるにつれ獲得合戦も激化しており、日本も特に注力している分野となっている。

 こうした中、丸紅<8002>が、ロシア最大の国営石油会社ロスネフチとの間で、極東LNG事業及び石油ガス鉱区の共同探鉱・開発に関する戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。ロスネフチは、ロシアにおける石油ガスビジネスの上流から川下に至るまで一貫したビジネスを展開するロシア最大の国営石油会社であり、近年ではTNK-BPや国内ガス企業の買収を通じてガス分野でも著しい成長を見せている。丸紅は以前からロスネフチと原油・ナフサ等の引取り、石油化学プラント事業における機器納入、サハリン島における共同物流事業等を通じて提携関係を構築していた。今回締結した戦略的パートナーシップ契約は、ロシア極東地域におけるLNGプロジェクトの実現に向け、マーケティング、プラントの設計・建設、資機材の供給、ファイナンス、輸送、エンジニアリング等を共同で検討、推進するもので、ロスネフチが保有する石油ガス鉱区の共同探鉱・開発も視野に入れるものとのこと。

 丸紅は先日も米国大手石油・ガスインフラ企業であるWilliamsとの間で、同社が米国メキシコ湾において海底油田向けに実施する原油・ガス洋上生産・処理サービス事業(総事業費:約10億米ドル)の49%持分を取得することに合意、出資契約を締結したと発表。韓国SK海運と共同で、フランスのガス・石油会社トタール社の英国法人と新造LNG船2隻の長期傭船契約も締結しており、LNG関連の動きを加速させている。メタンハイドレードなど、純国産資源への注目が高まっているが、そちらは話題ばかりが先行し、なかなか実用・普及が進まない。確かに、現行エネルギーが国内に入って来なくなること死活問題であり、その確保は必須である。しかし、確保していることに安住し、新たな資源に対するアプローチが加速しないことは問題であろう。(編集担当:井畑学)