【日経平均】安定感たっぷり14400円にタッチし307円高

2013年10月28日 20:18

 前週末25日のNYダウは61ドル高で続伸。マイクロソフト、アマゾンドットコム、P&Gの決算が良く、ミシガン大学消費者信頼感指数が確報値で下方修正されても下押し要因にはならなかった。28日朝方の為替レートは、97円台後半、ユーロ円は134円台後半だった。

 日経平均は173.46円高の14261.65円で始まる。さすがに25日の398円安、終値14088円は下がりすぎで大幅自律反発スタート。前場は14200円を割り込む場面もあったが、おおむね14200円台での安定した値動き。後場は14300円前半で推移した後、為替のドル円が円安方向に少し振れて午後2時前に一段高になり14300円台後半に乗せる。大引け3分前には14400円にもタッチし、終値は307.85円高の14396.04円。日中値幅が206円もあったのかと思えるほど波乱のない一日だった。TOPIXは+20.08の1198.36で1200台回復はお預け。売買高は23億株、売買代金は1兆7154億円で、最近は大きく下げないと2兆円は超えなくなっている。

 値上がり銘柄は1431で東証1部全体の81%を占め、値下がり銘柄は253。全面高で業種別騰落率は全33業種がプラス。上位は空運、ガラス・土石、電気機器、金属製品、陸運、機械など。下位は石油・石炭、鉱業、水産・農林、サービス、ゴム、鉄鋼などだった。

 日経平均225種でプラスは218もあり、上位5銘柄はファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>、9月中間期の営業利益が過去最高という業績観測記事が出たKDDI<9433>、京セラ<6971>、ソフトバンク<9984>で、合計で+94円、日経平均を押し上げた。マイナスはたった5銘柄で、通期の営業利益見通しが市場予測を下回ったヤフー<4689>、古河機械金属<5715>、25日に9月中間期の営業利益が従来予想を下回ることが発表されたJFEHD<5411>、前週の大幅高の反動が出たOKI<6703>と東京電力<9501>。しかしマイナス寄与度はどれも0.2円以下の小幅安だった。

 メガバンク・証券大手は大幅高が並び、みずほ<8411>5円高、三菱UFJ<8306>14円高、三井住友FG<8316>55円高、野村HD<8604>16円高。自動車はトヨタ<7203>が110円高、ホンダ<7267>が75円高、富士重工<7270>が45円高、日産<7201>が14円高と良かったが、それ以上に買われていたセクターが騰落率3位の電気機器。前週に好決算を発表していた日立<6501>が23円高と大幅高で売買代金4位、クレディスイス証券が投資判断を引き上げたソニー<6758>は59円高で同3位。野村證券が目標株価を引き上げた富士電機<6504>は15円高、シャープ<6753>も3円高だった。

 業種別騰落率トップの空運はJAL<9201>が180円高、ANAHD<9202>が3円高。ソニーの大株主のサード・ポイントがJAL株を取得しているというニュースでJALは大幅高。物言う株主としてソニーのように注文をつけられるのだろうか。

 iPS関連銘柄のアイロムHD<2372>は150円高のストップ高比例配分で値上がり率4位。ベクター技術を基盤とする遺伝子創薬、iPS細胞関連技術を持つディナベック社の完全子会社化を発表して俄然注目された。ノーベル賞受賞から1年経過してもiPS細胞は依然ホットなテーマ。風力発電関連の駒井ハルテック<5915>は36円高で値上がり率5位。政府が風力発電の固定買取価格を来年度から引き上げると報じられて買いを集めた。再生可能エネルギーの買取価格を太陽光発電は下げて、風力は上げる方向らしい。マザーズの日本風力開発<2766>は150円高のストップ高比例配分になっていた。日新電機<6641>は25日に発表した通期営業利益の上方修正が好感されて68円高で値上がり率7位。25日にマザーズから東証1部に指定替えになった情報サービスの豆蔵HD<3756>はストップ高の55円高で値上がり率9位。ビッグデータ関連として注目されている。

 この日の主役は、大幅高の日にはランキングにズラリと並ぶ低位建設株。値上がり率ランキングでは、後場に9月中間期と通期の業績上方修正を発表して、最終損益が黒字転換して48円高で年初来高値更新の佐田建設<1826>が2位に入り、3位に80円高で年初来高値更新の大豊建設<1822>、6位に42円高で年初来高値更新の熊谷組<1861>、8位に22円高の飛島建設<1805>、10位には37円高の安藤間<1719>が入り、大末建設<1814>が11位、淺沼組<1852>が15位だった。売買高ランキングでも1位に大豊建設、3位に熊谷組、5位に三井住友建設<1821>、7位に鉄建<1815>、9位に佐田建設、11位に安藤間、13位に飛島建設がランクイン。また、大豊建設は2位、熊谷組は6位で売買代金ランキングにも入っていた。「低位」と言いながら東京五輪決定以来の上昇ですでに大豊建設は400円台、熊谷組、鉄建、安藤間、西松建設<1820>は300円台になっている。低位株を〃卒業〃したら建設セクターの別の低位株が物色されるのだろうか。(編集担当:寺尾淳)