NYダウは75ドル高と反発。9月の雇用統計がようやく発表され、失業率は7.2%へ0.1ポイント低下したが、非農業部門雇用者数の伸びは14.8万人で、市場予測の18万人も8月の19.3万人(改定値)も大きく下回った。10月分も16日間の連邦政府機関閉鎖の影響で低水準が予想されるため、「年内の量的緩和縮小開始はない」という観測が強まり株価を押し上げた。第5世代の469グラムの「iPadエア」と「iPadミニ」をお披露目したアップルは小幅安。アメリカの長期金利が大きく低下したためドル安が進行して一時97円台になり、23日朝方の為替レートはドル円は98円台前半、ユーロ円は135円台前半だった。
日経平均は71.16円高の14784.41円で始まり、1分後に14800円まであと32銭に迫るがタッチできず。午前9時台は14750円を割り込んでズルズルとマイナス圏の14711円まで下げ、NY市場の株高を織り込んでも為替の円高に頭を押さえられる。10時台はプラスに持ち直し、おおむね14730~14760円幅でのもみあいで前場を終えた。
ところが、昼休み中に中国で金融引き締め懸念で短期金利が突然、急上昇するサプライズが起き、上海総合指数は急落しドル円は97円台前半まで大きく円高に振れる。リスクオフで東京市場では債券先物価格が上昇し、日経平均は後場マイナスで始まって先物主導で急速に値を下げ、午後1時30分頃に14500円を一時割り込んだ。その後しばらく14500円前後で踏ん張ったが、大引けにかけて売り込まれて終値は287.20円安の14426.05円。14800円直前から安値引けまで日中値幅373円という大幅下落を喫した。TOPIXは-18.46の1195.98で1200割れ。売買高は27億株、売買代金は2兆2048億円で、株を売りたいだけ売れば2兆円も超える。
値上がり銘柄223に対して値下がり銘柄1452で83%を占める全面安では、業種別騰落率も全業種がマイナス。下落率が小さいのは医薬品、鉱業、建設、空運、鉄鋼、非鉄金属など。大きいのはゴム製品、パルプ・紙、陸運、化学、倉庫、不動産などだった。
日経平均プラス寄与度1位はアステラス製薬<4503>で+4円。アメリカで「エンザルタミド」が前立腺がんの臨床試験で良い結果を出して110円高になり、後場途中まで医薬品セクターをプラスに引き上げた。マイナス寄与度はJPモルガン証券がレーティングを引き下げて430円安で値下がり率3位の日東電工<6988>が-16円で、-14円で3位のファナック<6954>、-37円で1位のファーストリテイリング<9983>の間に入り、3銘柄合わせて日経平均を69円押し下げた。ソフトバンク<9984>は前場の年初来高値更新から後場急落して20円安で終えた。
全面安の中でも健闘してプラスになった主力銘柄は、金価格の上昇で10円高と買われた住友金属鉱山<5713>、同じく10円高のIHI<7013>、随意契約から切り替えて競争入札を4倍にすると報じられ、1000億円規模のコスト削減を好感されて3円高の東京電力<9501>など。大成建設<1801>は午後2時、9月中間期の営業利益見通しを上方修正してマイナス圏から急浮上し17円高。売買高4位、売買代金3位と1時間で大量の買いを集めていた。建設関連では他に熊谷組<1861>が10円高で年初来高値を更新し売買高3位、売買代金7位。9月中間期の最終損益が従来予想の11億円の赤字から3億円程度の黒字に変わった模様という業績観測報道が出た東急建設<1720>は35円高で値上がり率11位に入っていた。
日本電産<6594>は前日に決算発表を行い、9月中間期は営業減益でも市場予測を上回った。上方修正した通期見通しは市場予測に届かなくても390円高で売買代金5位と買いを集め、シティグループ証券が投資判断を引き上げた。サカイ引越センター<9039>は213円高で年初来高値を更新し値上がり率8位。前場途中で9月中間期と通期の業績見通しの上方修正を発表し、中間期の純利益は減益から増益に変わり、通期の純利益は過去最高。住宅市場の盛り上がりが引越業界にも恩恵をもたらしている。
JPX<8697>は正午に決算を発表して通期の売上高、経常利益見通しを上方修正したが市場予想に届かず86円安。ゼンリン<9474>は9月中間期の業績見通しを下方修正し78円安で値下がり率6位。ココカラファイン<3098>は9月中間期と通期の業績見通しを下方修正して244円安で値下がり率2位だった。4月の6社統合に関して一時的な費用増加があるという。ベアリングのジェイテクト<6473>は9月中間期の営業利益は好調でも、アメリカでの価格カルテルの罰金103億円を特損計上し純利益は39%減と発表し73円安で値下がり率11位に。阪急阪神HD<9042>は子会社の阪急阪神ホテルズで料理偽装が発覚して17円安だった。
この日の主役は加賀電子<8154>。取引開始から終了までずっと値がつかず、結局ストップ高比例配分。150円高で年初来高値を更新し値上がり率トップになった。前日に営業利益を、9月中間期は1億円から19億円に、通期では18億円から36億円に大幅上方修正してマーケットを驚かせた。東京・秋葉原が本社の電子部品商社で、「TAXAN」ブランドで中国などの受託製造(EMS)メーカーへの販路を持つ。前日の日経新聞でも報じられたように、電子部品業界にとって7~9月期は「稼げるだけ稼いだ夏」だったようだ。(編集担当:寺尾淳)