NYダウは95ドル高。AT&Tは悪かったがフォードやスリーエムの好決算が牽引車で、中国PMIの上昇も素直に好感されている。25日朝方の為替レートは、ドル円は97円台前半、ユーロ円は134円台前半で、ユーロはドルに対してますます強くなっている。
取引時間前に発表された9月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同期比0.7%上昇で4ヵ月連続プラス。10月の東京都区部消費者物価指数は0.3%上昇で6ヵ月連続プラス。企業向けサービス価格指数はCPIと同じ0.7%の上昇だった。日経平均は47.27円安の14439.14円で始まったが、30分たらずで14400円、次いで14350円を割り込む。しかしその後は14300~14350円の幅で往復を繰り返して前場を終えた。
後場は先物主導で早々に14300円を割り込み、午後1時すぎには14200円も下回って1時45分に14113円まで下げる。ソフトバンク<9984>の大幅下落が足を引っ張っただけでなく、ドル円も一時96円台の円高で、上海、香港の4日続落などアジアの株安も影響する。それでも2時台はたびたび14200円台にタッチするが、利益確定売りの金曜日で大引け前の下げがきつく14100円も守りきれずに安値引け。398.22円の大幅安、終値14088.19円で3勝2敗、前週末から473.35円下落して今週の取引を終えた。10日の高値と11日の安値の間の120円のマドを埋めても下落は収まらず、75日移動平均線も下回った。日中値幅は354円安で、23日高値から711円安。TOPIXも-25.07の1178.28で安値引け。売買高は24億株、売買代金は2兆833億で、手じまい売りで2兆円を突破したようなものだった。
東証1部の値上がり銘柄は186しかなく、値下がり銘柄1501は85%を占めた。当然、全業種がマイナスで、下落幅が小さいのは水産・農林、保険、金属製品、ガラス・土石、その他金融、繊維など。下落幅が大きいのは情報・通信、パルプ・紙、陸運、倉庫、鉄鋼、電気・ガスなどだった。
日経平均マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>の-45円で、2位はソフトバンクの-43円。10月相場をリードしたこの銘柄が値下がり率15位の370円の大幅安を喫した理由は、香港から伝わった「アリババ集団の陸兆禧CEOが上場を中止した」というニュース。香港またはNYでの上場は秒読み段階とみられていただけにネガティブサプライズで、ソフトバンクの株価下落を通じ、アリババと40人の盗賊が兜町から株価を盗んでいった。3位は280円安で値下がり率10位のKDDI<9433>で-21円、4位は-16円のファナック<6954>だった。
一方、日経平均225種で上昇したのはプラス寄与度1位のOKI<6703>、日本電気硝子<5214>、三菱自動車<7211>、住友大阪セメント<5232>、SUMCO<3436>の5銘柄だけだった。OKIは23日の9月中間期見通しの経常損益黒字転換がこの日も効き2円高。三菱自動車は9月中間期の純利益を当初予想の減益から一転、55%増益になる見通しを発表して12円高。どちらも円安効果が寄与している。
値上がり率2位の加賀電子<8154>は22日の決算のポジティブサプライズの影響がまだ続いていて86円高で7日続伸と絶好調。同4位の富士通ゼネラル<6755>は通期、同5位のSMK<6798>は9月中間期と通期の業績見通しを上方修正して買われた。東京五輪関連の材料株では日本冶金工業<5480>は値上がり率6位、売買高5位。売買高1位の熊谷組<1861>は7円高で年初来高値を更新し、大豊建設<1822>も17円高で値上がり率10位だった。
無料通話アプリの「LINE」が来年夏に東証に上場する方針を固めたというニュースが伝わり、関連銘柄が買いを集めた。LINE用スタンプ(有料の図柄)を月525円使い放題で提供するネオス<3627>は256円高で値上がり率トップに。新興市場ではLINEの代理店になっているアドウェイズ<2489>が345円高、イマジニア<4644>が239円高。400円高のネットイヤー<3622>、40000円高のメディア工房<3815>はいずれもストップ高になっていた。LINEの時価総額は1兆円規模とも言われ、注目の大型IPOとして話題を呼びそうだ。
日本金属<5491>は、通期の業績見通しを下方修正して無配継続では売り浴びせられて14円安、値下がり率1位もやむなし。2時に通期見通しを発表して営業利益が市場予測を大きく下回ったJFEHD<5411>は一段安になって104円安。キヤノン<7751>は12月期の通期営業利益見通しを200億円下方修正して50円安で3日続落。今期2度目の下方修正では市場の目も厳しい。ヤマトHD<9064>は「クール宅急便」のずさんな管理が明るみに出て31円安。8月に気温27度の場所で仕分けしていたという。
この日の主役は村田製作所<6981>。後場の全面安にも動じず170円高で、まるで別の惑星にいるようだった。前日、9月中間期の業績見通しを売上高は3800億円を4140億円に、営業利益は480億円を670億円に、純利益は3.1倍の470億円に上方修正し、いずれも市場予測を上回った。電子部品メーカーがスマホ向け需要で荒稼ぎして好決算を出した7~9月期に、世界最小のセラミックコンデンサーを武器に大いに業績を伸ばした。10~12月期以降は低価格スマホの普及による利益減が心配されるが、村田恒夫社長は「低価格スマホでも小型で高機能の部品の採用が広がる」と強気のコメントを出している。電子部品はコストダウンの「聖域」という読みがあるようだ。
(編集担当:寺尾淳)