民主党の海江田万里代表は衆議院特別委員会で日本版NSCの設置法案と特定秘密保護法案は一体のものとするとともに、特定秘密保護法案の前提になるのが情報公開法の改正案だと情報公開法の改正を同時に審議していく必要を強調した。
海江田代表は森まさこ担当大臣が取材記者に罰則を科すケースについて「西山事件に匹敵するような行為と考える」としたことについて「西山事件のどこが特定機密保護法に触れるのかといった説明も委員会のなかでしっかりとする必要がある」とするとともに「西山事件はいろんな要素はあるが、西山記者が、政府がひた隠しに隠していた秘密情報を取材活動を通じて明らかにしたことは確かで、そうした関係をどうするのかということについてもしっかり委員会で議論していかなければいけない」との考えを示し「充分に時間をかけて国民が納得いく法律、審議の仕方にしていかなければいけない」と強調した。
情報公開法の改正については日弁連も「特定秘密保護法案をつくるより、日本で必要なことは情報公開法の早期改正だ」とアピールしている。
日弁連は特定秘密保護法案がマスコミの取材や報道を阻害することになりかねないこと、特別な秘密の範囲の設定の問題、プライバシーの侵害への危険性などを日弁連ホームページに掲載し、懸念される問題を提起している。
このうち秘密の範囲については「国の安全・外交・公共の安全と秩序の維持に関する情報で、例えば、国民の関心が高い、普天間基地、自衛隊の海外派遣などの軍事・防衛問題、私たちの生活に関わりの深いTPPなどの外交問題、今私たちが最も不安に思っている原子力発電所の安全性や放射線被ばくの実態・健康への影響などの情報。これらが行政機関の都合で特別秘密に指定され、主権者である私たち国民の目から隠されてしまうかもしれません。その上、刑罰の適用範囲も曖昧で広範。どのような行為について犯罪者として扱われ、処罰されるのか全く分かりません」と指摘する。
マスコミの取材については「特別秘密を漏えいする行為だけでなく、それを探る行為も、特定取得行為として処罰の対象になる」として「マスコミ記者、フリーライター及び研究者等の自由な取材を著しく阻害するおそれがあり、正当な内部告発も著しく萎縮させることになる」としている。
プライバシーの問題についても「特別秘密を取り扱う人のプライバシーを調査し、管理する適性評価制度というものが報告書では提案されていて、住所や生年月日だけでなく、外国への渡航歴やローンなどの返済状況、精神疾患などでの通院歴等々、多岐に渡っている」とし「秘密を取り扱う人というのは国家公務員のほか、地方公務員も当然含まれ、一部の民間事業者や大学等で働く人も含まれるうえ、本人の家族や恋人、友人などにも調査が及ぶ可能性があり、個人情報を収集・管理される人の範囲は知らない間に際限なく広がってしまうおそれがある」と警鐘を鳴らす。こうした懸念をなくす制度的な担保が必要といえ、国民の理解を得る上で政府・与党の対応が注視される。(編集担当:森高龍二)