30日、東芝<6502>は2014年3月期の連結業績予想(米国会計基準)の営業利益と売上高を上方修正したと発表。スマートフォン(多機能携帯電話)普及の追い風を受けて、記憶用半導体のNAND型フラッシュメモリーの需要が拡大したことが要因とみられ、また円安の影響も収益を押し上げるのにひと役買う形となったようだ。
営業利益は前年比で49.9%アップの2900億円となる見通しで、これまでの予測の2600億円と比較して、11.5%の上振れとなる。NAND型フラッシュメモリーの好調に加えて、赤字続きのテレビ、パソコン事業の損益も改善されることとなる。売上高予想はこれまでの6兆1000億円から前年比8.6%アップの6兆3000億円に増え、13年4~9月期のNAND型フラッシュメモリー事業により、需給が引き締まり価格も上昇し、円安影響も相まって収益の改善が反映される形となった。
ただし、純利益予想はこれまで通りの前年比29.3%アップの1000億円を維持。構造改革にかかる費用に加え、海外の子会社を売却するための為替換算調整勘定の影響、またグループ企業の東芝メディカルシステムズにおいて不適切な会計処理が発覚したため、営業外損益を計上したことが影響した模様だ。
NAND型フラッシュメモリーを含む電子デバイス部門の、通期の売上高予想はこれまでの1兆5100億円から1兆7700億円に修正、営業利益予想も1300億円から2100億円に上方修正された。
決算会見の場で東芝の久保誠副社長は、下期以降のNAND需給環境について、「これまでのようなタイトな感じから、かなり平常状態に戻るのではないか」とその見通しを語り、10~12月については「想定の範囲内で、NANDの売価はダウンする」と述べ、1~3月に関しては「まだまだ分からない」とコメントするにとどまった。
また久保社長は、足元のNANDの利益率は「20%後半台」と説明し、下期のNANDの売上高は売価ダウンも織り込んだ上で、「上期の二割くらいとみており、下利益率もやや低めに考えている」と語った。しかし、「これまでに経験したような、大きな落ち込みとなることはないだろう」との見通しも示した。(編集担当:滝川幸平)