三菱自、2000億円の公募増資を発表

2013年11月10日 17:01

 6日、三菱自動車工業<7211>は、2000億円にも及ぶ公募増資を行うとともに、経営再建に一定のめどがついたとして、長年の課題であった優先株をすべて処理すると発表した。

 「リコール隠し」以来行われ続けていた再建にめどをつけ、来年度からの新たな中期計画で2017年3月期に営業利益を3割以上引き上げる予定。事業の柱と位置付けている新興国の経済には変化もみられるものの、三菱自動車の益子修社長は、この引き上げを「慎重な目標」と語り、「達成することに比重を置いた」と述べた。関係者の間では、単独での生き残りを懸念する声もあるが、益子社長は他のメーカーとの資本提携の可能性は否定した。

 今年度中に三菱自動車は、最大2100億円の公募増資を実施する予定。それを元手に、三菱重工業<7011>、三菱商事<8058>、三菱東京UFJ銀行の3社が持つ優先株式の取得・消却を行う。これにより3808億円の優先株すべてを処理できる見込みで、そのことで16年ぶりの普通株の復配が可能となる。

 会見を行った益子社長は、「ようやく再生企業から普通の企業になることができる。社員全員でこの大きなパラダイムシフトを実感しつつ、新たな成長を遂げたい」とコメントした。

 来年度から始める中期計画では、タイやインドネシア、フィリピンなど新興国に焦点を絞った姿勢を明らかにしている。17年3月期の世界販売は、今年度見通し比の3割アップである143万台に増やす計画で、そのうち東南アジアと中国、ロシアは約5割アップの70万台を見込んでいる。東南アジアにおいては生産能力を増強するようで、インドネシアやフィリピンに新しい工場の建設が検討されている。さらに「アウトランダー」や「パジェロ」といった人気のSUV(多目的スポーツ車)、ピックアップトラックに販売車種を絞り込むようだ。

 17年3月期の売上高は、今年度見通し比22%アップの2兆6000億円、営業利益は今年度見通し比35%アップの1350億円を計画している。中期計画期間は、年平均1000億円を設備投資に、年平均800億円を研究開発に投じる模様。また、1100億円のコスト削減も目指す。(編集担当:滝川幸平)