東芝と丸紅、タイの鉄道事業を受注

2013年11月10日 14:04

 先日6日、東芝<6502>と丸紅<8002>は、両社が現地で設立する合弁会社を通じて、タイの都市鉄道の車両や信号・運行監視、変電・通信設備などの鉄道システム一式と、10年間の保守(メンテナンス)事業を受注したと発表した。車両は東日本旅客鉄道(JR東日本)<9020>の子会社が製造したもので、そのメンテナンス事業にはJR東日本も参画する模様。それらの受注額は400億円程度になるとのこと。日本の企業が海外の鉄道メンテナンス事業に参画するのは、今回が初めてのこととなる。

 受注したのは、タイの首都バンコクと郊外とを結ぶ、新しい都市鉄道として建設が行われている路線「パープルライン」で、その路線の全長は約23キロメートル。2016年に開業が行われる予定だ。東芝と丸紅は、現地の大手建設会社、鉄道運営会社と契約を行った。JR東日本100%出資の子会社である総合車両製作所が、その路線で使用される車両63両を製造する模様。3社によると、日本製の車両がバンコクにおいて採用されるのは、初めてのこととなる。

 鉄道事業者を含む日本企業連合が、海外で鉄道メンテナンス事業に参画するのも、今回が初めてのこととなる。メンテナンス事業においては、12月に東芝と丸紅と、JR東日本による共同出資会社を設立し、車両の整備や、レール・駅の設備を含めた保守サービスを、開業から10年間請け負うこととなる。

 東芝はこれまで、台湾で鉄道プロジェクトを手掛けたことがあり、丸紅はフィリピンやドバイなどでの実績がある。今回の案件では、そうした東芝・丸紅両社の実績に加えて、丸紅の広報担当者によれば、「鉄道事業者である、JR東日本が参加していることも、高く評価された」とのこと。

 年内をめどに東芝、丸紅、JR東日本の3社で合弁会社を設立し、駅や軌道も含めた施設全体に関して、レベルの高い保守・管理技術を提供する。海外で収益性の高いメンテナンス事業に参画することで安定収益につなげ、鉄道輸出の実績を積み上げたい考えがあるようだ。世界の鉄道インフラ市場は02年に今の2割増の年22兆円市場になると試算されている。(編集担当:滝川幸平)