特定秘密保護法案修正に耳を傾ける森大臣に期待

2013年11月16日 14:39

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特定秘密保護法案の審議が進む中、森まさこ担当大臣が野党の修正提案に柔軟な姿勢で対応していることは評価されよう

 特定秘密保護法案の審議が進む中、森まさこ担当大臣が野党の修正提案に柔軟な姿勢で対応していることは評価されよう。柔軟姿勢に批判する声のあることも事実だが、民主主義の根幹に係わる法制であり、一方で国家の安全、国民の生命安全に係わる重要法案であるから、ここは『耳を傾ける』大臣の方を褒めるべきだろう。

 柔軟な姿勢の現れは行政機関内部に「特定秘密」指定の妥当性を監視する第3者機関の設置を「検討する」と前向きな答弁を行ったことだ。

 特定秘密を指定するのは「行政の長」だが、その指定の基準は第3者機関が作成する。行政の長はその基準に基づいて特定秘密に指定するのだが、指定された特定秘密が基準に照らして適正かどうかを審査する第3者機関を行政内に設置することを検討するよう野党議員から要請があった。森大臣は衆議院特別委員会で「検討する」と回答した。

 岡田広副大臣は「指定された特定秘密の妥当性を第3者機関で判断するのは適当でない旨の答弁をした」(民主党議員)そうだが、それが本音だったとしても、担当大臣が「検討する」と約した発言は重い。

 岡田副大臣は自らの答弁を野党議員から追及されて「議員から第3者機関の設置を検討して頂きたいとの発言を受け、これを謙虚に受け止めたい旨を申し上げたものと承知している」と弁明にも似た答弁。

 そのうえで「現在の法案においても特定秘密の指定は外部有識者の意見を反映させた基準に基づいて行うことになっている。特定秘密の有効期間は30年が原則であるとの基本的考え方の下、30年を超える有効期間の延長には内閣の承認を要するなど、恣意的な秘密指定を防ぐための仕組みを設けている」とし「実際に運営していく中で、どのような対応が可能か、さらに検討を進める必要があるとの認識を示したもの」と指摘された答弁の趣旨を説明した。

 町村信孝元外相が法案担当大臣だったら、特定秘密の指定基準を第3者機関が作成することには妥協しただろうが、指定したものが妥当かどうかを監視する第3者機関の設定までを検討する答弁をしたかどうか、森大臣で良かったと好意的にみている国民は多いのではないか。

 少なくとも行政活動で得た全ての情報は国民共有の財産であり、保護法制が必要なら、国家存立の危機を招きかねない安全保障上のトップシークレット情報について「特定秘密」として必要最小限を保護する法制でなければならない。
 
 特定秘密保護法案の懸念材料は極力、国民の前に、その懸念を払拭する担保が示されている必要がある。森大臣には担当大臣としてのリーダーシップを強力に発揮して頂きたいと願う。

 政府・与党間では維新の会やみんなの党などとの修正協議が行われたようだが、特定秘密保護法の必要性を与党時代に提起していた民主党が提起する問題点への対応や修正協議での具体的な条項修正などに私個人は関心を寄せている。

 それは、与党経験から得られた教訓と現在、野党の立場で、どこまで情報非開示を認めるか。時の政府の恣意的介入の余地をどこまで無くせるか。また、特定秘密の妥当性とともに、その後に歴史的検証が可能な状況をいかに確保するか、多角的視点から法案修正を求めているように感じるからだ。

 民主党は19日に対案を提示する方針だ。安全保障上、特に日米間で機密情報を共有するための担保として法制が必要で、今国会での成立を急ぐなら、50項目にわたって民主党が提起した個々の課題、国民的な懸念払拭へ、政府・与党が柔軟に解消策を民主と協議することが期待される。

 民主党は「国会で審議中の法案では特定秘密の範囲、指定、管理、有効期限、指定者、適正評価、知る権利、刑罰対象行為などで数多くの曖昧な点がある」としており「これらの統一的な運用を図るために必要な基準は有識者の意見を聞くものの、すべて政令に委ねられ(第18条、第20条)、政府が定めて運用することになっている」と国民が安心できるだけの担保ができていないとの考えを示している。

 また、指定基準を作成する第3者機関のメンバー、指定された特定秘密が妥当かどうかを監視する第3者機関のメンバーの任命の際には、その役割の重要性に鑑み、国会の同意案件にすべきだろう。少なくとも国会の委員会でメンバー候補は自らの考えを述べ、国民にその姿勢を示し、同意を得て、就任すべきだろう。(編集担当:森高龍二)