民主党は特定秘密保護法案に対する論点整理を14日までに行った。政府案に対する対案を19日にまとめ、修正協議に臨む意向。松原仁国対委員長は「民主党が列挙した50項目については多くの国民が共有するものであり、政府与党は協議することになおざりであってはいけない」と明確な対応を求めた。
同党の論点整理によると、現在、国会で審議中の法案では「特定秘密の範囲および指定、管理や有効期限、指定者や適正評価、知る権利、刑罰対象行為などで数多くの曖昧な点がある」としている。
そのうえで「これらの統一的な運用を図るために必要な基準は有識者の意見を聞くものの、すべて政令に委ねられ(第18条、第20条)、政府が定めて運用することになっている」として、時の政府に恣意的関与を与えないための担保は不十分との認識を示す。
法案を見る視点からは「時の権力の恣意性によらない民主的で公正な運用を保障することができないのではないか」「基準とともに、実際の運用についても、国会が関与して国民の監視ができるような仕組みを検討する必要があるのではないか」などの視点から改善策を探っているもよう。
具体的には特定秘密の範囲について「我が国の安全保障とは」の意味合いについて「国防の観点でなく、経済、エネルギー資源、食糧、感染症、大量難民、原子力などに関する情報も含む可能性があるのか否か」
行政機関の範囲については「外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁などのほかに、他の省庁、国土交通省、経済産業省、厚生労働省、農林水産省、財務省なども対象になると理解してよいのか」
情報範囲については「別表におけるテロリズムの防止に関する事項の解釈によって、国内のテロや治安についての情報へと拡大していくのではないか」など、懸念される部分を指摘。
範囲のあいまいさについても「指定される情報の類型は別表に列記されているが、その記載では十分に限定されているとはいえない」とし、「その他の防衛の用に供する物」「その他の安全保障に関する重要なもの」「保護することが必要な情報その他の重要な情報」など「その他」との表記が多く、「政府の判断で範囲が限りなく広がる可能性はないか」拡大を防ぐための策が必要としている。
また、特定秘密の基準を決める有識者の人選についても、政府が決めるため、都合の良い人選にならないか、基準そのものが政府にとって都合の良いものになる危険性も指摘した。
さらに指定解除について「30年を超えた場合、いつの時点で指定解除の見直しをするのか」なども指摘された。政府・与党は国民の不安を払拭するためにも、こうした疑問点や問題の解決策について、明確に答える責務はあるといえよう。(編集担当:森高龍二)