NYダウは0.26ドル高でカスカスの4日連続史上最高値更新。住宅着工件数の政府機関閉鎖で延期になった9月分の発表は10月分と合わせて12月18日に再延期。住宅着工許可件数、S&Pケース・シラー住宅価格指数は市場予測よりも良く、好決算のティファニーが大幅高でIT関連、住宅関連も買われた。16120ドルまで上昇したものの終盤に40ドルを超える急落を喫し、高値警戒感強し。NASDAQは2000年9月以来の4000の大台に乗せて終えたが、史上最高値までまだ1000ポイント以上ある。前日のシャープ<6753>の株価を思惑買いで高値引けにしたHPの決算発表は取引終了後で、売上高も利益も市場予測を上回った。27日朝方の為替レートはドル円が101円台前半、ユーロ円が137円台前半で、やや円高方向に振れた。
日経平均は100.72円安の15414.52円で始まる。「寄り安」の下げ渋り基調で、午前9時台前半は15420~15450円のレンジ、9時台後半以降は前場を通じほぼ15450~15480円のレンジで推移し、11時前には15500円にタッチしてTOPIXは一時プラスになるなど底堅い。後場は「ドイツで大連立合意」のニュースが流れ、メルケル政権の安定を好感してユーロ円は138円台に。それを受けて15500円にタッチし、午後2時すぎにも再び上昇し前日終値にあと3円足らずまで迫ったが、あっさり押し戻されただけでなく、返す刀で15420円近辺まで下落する。大引け前に少し戻し終値は65.61円安の15449.63円。ユーロ高以外に好材料も悪材料もなく、終わってみれば日中値幅は98円だけ。TOPIXは-5.94の1247.08。売買高は21億株、売買代金は1兆9263億円で2兆円を割り込み、アメリカの感謝祭ウィークの影響もあり様子見ムードの薄商いだった。
値上がり銘柄は552、値下がり銘柄は1071。業種別騰落率のプラスは8セクターで、その上位は鉱業、石油・石炭、不動産、海運、電気機器、医薬品など。マイナスは25セクターで、その下位は情報・通信、その他金融、金属製品、保険、化学、卸売などだった。
日経平均採用225種は値上がり82銘柄、値下がり125銘柄。プラス寄与度1位は京セラ<6971>、2位はTDK<6762>、3位はスズキ<7269>で合計+8円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-28円と下落幅の43%を占めた。2位はダイキン<6367>、3位はKDDI<9433>だった。
メガバンクは3行とも下落し証券も下落。自動車は自動車取得税軽減のニュースが入りザラ場中に円安が進んでも終値はマイナスばかりで、新型アクアの燃費が1リットル37キロで世界一を奪回してもトヨタ<7203>は30円安、フィットがアクアに世界一の座を譲ったホンダ<7267>は40円安、マツダ<7261>は5円安、日産<7201>は値動きなしだった。その中でスズキが53円高とひとり気を吐いていた。
サードポイントからエンタメ事業の分離を求められているソニー<6758>は、前日の投資家説明会で平井一夫社長が「一体化したほうが有利」と分離を重ねて否定し21円高。パナソニック<6752>は富山県と新潟県の半導体主力3工場を分社化して、株式の大半をイスラエルのタワージャズ社に売却するという日経新聞の記事が出た。海外の半導体工場もシンガポール企業に売却するという。不振の半導体部門を思い切りよく切り離すところを好感して39円高で年初来高値更新。シャープは売買高1位、売買代金2位と相変わらず商いは多いが7円安。6円高で3日続伸して売買高6位に入ったOKI<6703>は、グループのOKIデータが中国でドットインパクトプリンターの小型・低価格戦略モデルの販売を開始するという材料があった。3年で約25万台の売上を見込んでいる。
東京電力<9501>は各紙で今後10年間の収支計画が伝わって12円高。2014年度以降は1600~2500億円の経常利益を確保できる見通しだが、どうなる電気料金。ドイツの政局で動いた午後のユーロ高はキヤノン<7751>を25円高、ニコン<7731>を49円高にした。自動車用防振ゴムのカルテル問題でアメリカ司法省と122億円の罰金支払いで合意した東洋ゴム工業<5105>は安く始まったが終値は6円高。パソナG<2168>は78円安で値下がり率2位。前日に三菱UFJ証券が目標株価を引き下げたヤマトHD<9064>は続落して38円安だった。
この日、日経平均、TOPIXを支えたセクターが不動産で、S&Pが格付けを格上げ方向と報じられた三井不動産<8801>は50円高、三菱地所<8802>は27円高、東京建物<8804>は10円高。しかし住友不動産<8830>は後場に売られて25円安だった。
中国が東シナ海に設定した「防空識別圏」の問題は、そこを米軍機が飛行して何事もなかったという新展開。中国は二重基準なのか、それとも自分のナワバリを「言うだけ番長」か。防衛関連株を刺激して石川製作所<6208>が11円高で値上がり率4位、売買高15位に入り、日本無線<6751>は22円高で値上がり率8位、東京計器<7721>は13円高、豊和工業<6203>は22円高になっていた。
この日の主役は楽天<4755>。12月3日にジャスダックから東証1部に指定替えになると前日発表した。楽天イーグルス日本一の1円の期末記念配当、Kスタ宮城ご招待・ご優待など株主優待の導入も合わせて発表。TOPIXだけでなく日経平均採用もあるかというインデックス先回り買いも入って92円高になり年初来高値を更新した。時価総額は2兆円を超えソニーをも上回りTOPIXへの指数インパクトは大。
傘下のマザーズのケンコーコム<3325>は「楽天市場」内の日用品ネット通販サイト「楽天24」の事業を楽天から継承すると報じられ75円高になった。悪影響を受けたのは楽天市場と競合する東証1部のネット通販関連銘柄で、「ゾゾタウン」のスタートトゥディ<3092>は投資判断の引き下げもあり255円安で値下がり率1位。カカクコム<2371>は74円安。最大のライバルのヤフー<4689>は楽天のサイトにバナー広告を出すなど「雪解けムード」も出ているが5円安だった。