NY市場は感謝祭で休場。29日朝方の為替レートはドル円は102円台前半、ユーロ円は139円台前半でユーロ高がさらに進行した。
月末最後の平日なので取引時間前に経済指標が集中的に発表された。10月の家計調査・消費支出は0.9%増で市場予測を下回り9月の3.7%増から増加率大幅低下。10月の失業率は4.0%で9月と同じで市場予測よりも悪かったが、有効求人倍率は0.98倍で9月から0.03ポイント改善し市場予測を上回り、2007年12月以来の高水準。10月の全国消費者物価指数(CPI)は0.9%上昇で市場予測と同じ、東京都区部消費者物価指数(CPI)は0.6%増で市場予測より良かった。10月の鉱工業生産指数は0.5%増で市場予測を下回り9月の1.3%増から増加率低下。雇用とCPIは良かったが、生産指標は悪化した。
日経平均は65.69円安の15661.43円で始まる。午前10時30分頃までは水平飛行だったが、ドル円が30銭ほど円安に振れるに従って上昇し10時52分に一瞬プラスにタッチ。その後も15700円台を維持してプラスで終わる期待を後場につないで前引けを迎えた。しかし、その期待を粉々に粉砕したのが午後1時の時報と同時に始まった先物主導の急落で、「利益確定売りの金曜日」が牙をむく〃ブラックな〃フライデー。その下落のタイミングも、1時19分の安値15507円まで200円を超える下落を喫したところも前週22日の金曜日とそっくりで、その間、ドル円は30銭ほど円高に反転していた。
その後は徐々に持ち直し1時台のうちに15600円にタッチ。2時台にも少しずつ下げ幅を圧縮していき、終値は65.25円安の15661.87円。始値から44銭安いだけの水準まで戻し、ローソク足で魔除け?の十字架を立てて終わった。日中値幅は220円もあった。今週の星取は2勝3敗と負け越したが前週末比で280.15円も上昇。11月の取引も終了し、10月31日の終値から1333.93円も大幅上昇した月になった。TOPIXは-2.38の1258.66。売買高は23億株、売買代金は3日ぶりに2兆円を超えて2兆1536億円だった。
値上がり銘柄数は698、値下がり銘柄数は全体の49.9%を占める880。上昇セクターは11で上位は海運、卸売、ゴム製品、金属製品、建設、その他製品など。下落セクターは22でその下位は鉱業、パルプ・紙、証券、情報・通信、銀行、不動産などだった。
日経平均採用225種は値上がり76銘柄、値下がり133銘柄。プラス寄与度1位は+3円のコナミ<9766>。93円高と高騰した材料は噂の「カジノ」で、自民党総務会が全会一致で了承したカジノ法案が臨時国会終盤の来週、共同提出される話が出ている。同じカジノ関連の日本金銭機械<6418>は値上がり率9位。2位はみずほ証券が目標株価を引き上げたホンダ<7267>の+1円。マイナス寄与度の1、2位はソフトバンク<9984>とKDDI<9433>の携帯キャリアコンビで、合わせて日経平均を26円押し下げた。ちなみにNTTドコモ<9437>は18円高だった。
メガバンク、証券はこの日も低調。自動車もホンダと富士重工<7270>は好調でもトヨタ<7203>10円安、マツダ<7261>1円安、日産<7201>と三菱自動車<7211>がともに3円安などまちまち。電機はソニー<6758>こそ2円高だったが、パナソニック<6752>25円安、シャープ<6753>値動きなし、東芝<6502>1円安などふるわない。日立<6501>は昼の情報通信事業の説明会への期待で買いが先行し売買高、売買代金とも1位になったが、中身は期待はずれだったようで前場の19円高から急落して6円安で終えていた。
午後2時に飛び込んできたのが回転寿司業界の大型合併の特報。業界2位の「かっぱ寿司」のカッパクリエイト<7421>が業界5位の元気寿司<9828>と合併し、売上高で業界1位のスシロー(非上場)を抜くという話で、東証は事実確認のために2時19分に両銘柄の売買停止措置をとり、合併が発表された後の2時56分に再開した。カッパクリエイトの終値は71円高、元気寿司の終値は273円の大幅高で年初来高値を更新し値上がり率1位になった。寿司ネタの共同仕入れなど「元気なかっぱ」の競争力強化の影響を受けそうな「はま寿司」のゼンショーHD<7550>は14円高と動じず、株価の上では「へのかっぱ」で意に介さずというところか。
値上がり率2位のアタカ大機<1978>は日立造船<7004>が株式交換による吸収合併を発表しストップ高比例配分の80円高。来年3月27日で上場廃止になる。終値は合併比率で計算した理論株価まで41円足りず週明けも続伸か。日立造船は終値4円高。値上がり率5位の菱洋エレクトロ<8068>は前日に第3四半期の好決算とともに60万株上限の自社株買いを発表し95円高だった。
前日の続きで海運株が買われ2日連続で業種別騰落率1位。「バルチック海運指数」が10%近い急上昇をみせたのが材料。日本郵船<9101>値動きなし、商船三井<9104>5円高、川崎汽船<9107>4円高の大手勢よりはNSユナイテッド海運<9110>17円高、第一中央汽船<9132>6円高など中堅どころが買われた。造船株もサノヤスHD<7022>が28円高で値上がり率3位に入っていた。
日医工<4541>も前日の続きで増資による希薄化懸念で大幅続落し108円安で値下がり率3位。ライツ・イシューという横文字がいけないのか。塩野義製薬<4507>はモルガンスタンレー証券がレーティングも目標株価も引き下げて71円安の大幅安で値下がり率11位。ルネサスエレクトロニクス<6723>も投資判断下落組で、UBS証券が格下げすると36円安で値下がり率2位。同じくUBS証券が格下げしたTDK<6762>も55円安と売り込まれて反落した。
この日の主役は富士重工。10月の自動車各社の生産台数が発表され過去最高を更新した。売買代金10位に入り株価は24円高で7月19日以来の年初来高値を更新した。2020年に自動運転車を実用化するという話題も出て、既存技術を利用して低価格も追求していくというのが、華やかさは他社に譲っても実直なクルマづくりが身上のスバルらしい。(編集担当:寺尾淳)