前週末6日のNYダウは198ドルの大幅高で6日ぶりに反発し16000ドル台回復。11月の雇用統計が発表され、失業率は7.0%で10月から0.3ポイント改善し5年ぶりの低水準。非農業部門雇用者数の伸びは20万3000人で市場予測を大きく超えた。18万人を超えると翌月の失業率が下がると言われるので12月の6%台も有望。サービス部門だけでなく製造業も2万7000人、建設業も1万7000人増加し、労働参加率も0.2%上昇したのでFRBのバーナンキ議長やイエレン次期議長が言及する「雇用の質」も悪くない。17~18日のFOMCでの量的緩和縮小開始がますます濃厚になったにもかかわらず、NYダウは午前中から100ドルを超える上昇で推移し徐々に上値を切り上げた。ドル円は103円に迫りユーロ円は141円タッチ。9日朝方の為替レートはドル円が103円台前半、ユーロ円が141円台半ばになっていた。
取引時間前に発表された10月の貿易収支は1兆919億円の赤字、経常収支は1279億円の9ヵ月ぶりの赤字だがこれは円安要因。しかし7~9月期国内総生産(GDP)改定値は年率換算1.1%で、速報値の1.9%増から大幅に下方修正された。日経平均は256.74円高の15556.60円と大幅高で始まるが、前場は為替の上値が重く15600円台にタッチしても長続きしない。おおむね15500円台後半の水平飛行の値動きが前引けまで続く。ドル円が103円を割り込んでも反応薄で、後場も前場と同水準の水平飛行。午後2時30分すぎからドル円が103円台に戻り、先物に買いが入ってやや上昇して15600円台に乗せ、最後は350.35円高の15650.21円と高値引けで着陸した。日中値幅は103円だった。TOPIXは+19.49の1255.32。売買高は21億株。売買代金は1兆9759億円だった。
東証1部は値下がり銘柄235に対し、値上がり銘柄は8割を超える1426という全面高。業種別騰落率は電気・ガス1業種だけが下落で、上昇32業種の上位はパルプ・紙、鉱業、ゴム製品、情報・通信、精密機器、金属製品など。下位は不動産、空運、水産・農林、陸運、卸売などだった。
日経平均採用225種はプラスが216銘柄で、マイナスはたったの6銘柄。プラス寄与度1~4位は「御三家」にKDDI<9433>が加わった「四天王」が君臨し合計で日経平均を107円押し上げた。190円高のソフトバンク<9984>は年初来高値を更新。マイナス寄与度1位は7円安のアドバンテスト<6857>、2位は5円安の三井不動産<8801>。4位のSUMCO<3436>は6日に決算を発表し通期営業利益見通しは20億円上方修正し朝方は買われたが続かずに29円安で値下がり率12位だった。
メガバンクは3行とも高く、証券関連は野村HD<8604>5円高、大和証券G<8601>19円高、JPX<8697>164円高。電機で元気なのが富士通<6702>で17円高で年初来高値更新。メリルリンチがIT投資回復を織り込んでレーティングを引き上げていた。
「税金は取りやすいところから取る」と軽自動車に続き二輪車の増税案が浮上したが、地合いの良さにマスクされ二輪のホンダ<7267>は50円高、ヤマハ発動機<7272>は24円高、川崎重工<7012>は13円高。スズキ<7269>は、鈴木修会長がインタビューに「軽のハイブリッドを独自に開発する」と答え61円高と買われていた。自動車で朝から活発に買われたのがマツダ<7261>。14円高で売買高2位、売買代金5位。富士重工<7270>も49円高になった。トヨタ<7203>は80円高だったが、11月25日以来の終値6400円台まであと100円もあり、ボックス圏からなかなか抜け出せない。
ケニアで港湾クレーンを初受注した三井造船<7003>は4円高。7日に完全養殖マグロの出荷量を倍増させると報じられた豊田通商<8015>は50円高。マグロが一番人気のネタの回転寿司は、合併した後は業界首位のカッパクリエイト<7421>は8円高、元気寿司<9828>は5円高だった。
LINE向けゲームを開発するエイチーム<3662>は、韓国のNHNエンターテイメントと資本・業務提携し合弁会社を設立と発表しストップ高比例配分の500円高で値上がり率1位。同3位に入ったのが丹青社<9743>で、文化施設を中心に受注採算が改善して1月期の純利益見通しを83%増とし67円高。同4位のCKD<6407>はみずほ証券がレーティングを格上げし、目標株価も大幅に引き上げ93円高になり年初来高値を更新した。
この日は主力株も新興市場も同時に上昇。ドワンゴ<3715>は293円高でソフトバンクに次ぐ売買代金2位と依然活況。話題のミクシィ<2121>はこの日もストップ高比例配分の1000円高で終値7560円。LINE関連のアドウェイズ<2489>もストップ高の500円高。ゲーム関連ではグリー<3632>が40円高でコロプラ<3668>は211円高、ガンホー<3765>は700円高だった。
9月の東京五輪決定以来、何度もランキングに顔を出している大豊建設<1822>は39円安で値下がり率1位。公募増資と売出しで上限14.7億円を調達すると発表したJKHD<9896>は希薄化&需給悪化懸念で42円安、値下がり率3位。産業廃棄物処理のタケエイ<2151>は同業の福島市の東北交易の完全子会社化を発表したが47円安で値下がり率9位。アートネイチャー<7823>はこの日ジャスダックから東証1部に指定替えになったが、66円安と地合いに似合わぬ手荒い歓迎ぶりで値下がり率15位だった。
今週5件ある新規IPOの先頭を切ってホットリンク<3680>が東証マザーズに新規上場。ソーシャルメディア由来のビッグデータの活用支援サービスをクラウド型モデルで提供する。公開価格は2700円だが6210円の買い気配で終わり、初値は持ち越した。
この日の主役はヤフー<4689>。ゴールドマンサックスがレーティングを「中立」から「コンビクションリスト(強い買い)」に2階級特進させ、32円高の大幅高で値上がり率19位、売買高4位、売買代金6位に入った。リアル店舗で商品を確かめてネット通販で安く買う消費行動「ショールーミング」でヤフーショッピングが成長するという評価で、アジア最大の通販モールの名を挙げ「日本のタオバオ」と期待する。加盟店の手数料無料化は営業拡大にはプラスになるはず。ネット通販モールの同業の楽天<4755>は19円高。どちらもアマゾンに対抗して送料無料に踏み切る加盟店が増えており、それもショールーミングを後押ししている。(編集担当:寺尾淳)