【今週の展望】26日の「NISA買い」で16000円を突破か?

2013年12月23日 20:08

 今週の新規IPOは1件。24日にヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)<6090>がマザーズに新規上場する。東京が本社のメタボローム解析試験受託、バイオマーカー開発を行う企業で、公開価格は1400円。メタボローム解析は細胞の活動で生じる特異的な分子を網羅的に解析する生物学の新しい解析技法で、肥満度検査のことではない。

 海外の経済指標は、23日はアメリカの11月のシカゴ連銀全米活動指数、個人所得・個人支出、ミシガン大学消費者信頼感指数、24日はフランスの7~9月期国内総生産(GDP)確報値、アメリカの11月の耐久財受注、10月のFHFA住宅価格指数、リッチモンド連銀製造業指数、11月の新築住宅販売件数、27日は中国の11月の工業利益が、それぞれ発表される。

 20日で、国内外の年内の重要イベントはほとんど通過してしまった。主要企業の決算発表も、アメリカの雇用統計の発表も、メジャーSQも、量的緩和の縮小開始が決まったFOMCも、日銀の金融政策決定会合もみんな終了し、あとは小売業大手の決算発表が少々と、27日の取引時間前の11月の国内経済指標の発表ラッシュぐらい。12月恒例のIPOラッシュも連勝を52でストップさせて1件を残して終わった。アメリカでは与野党合意の予算案が上下両院で可決され年初からの連邦政府機関閉鎖の恐れは完全になくなり、日本では来年度予算案の閣僚折衝が行われ、あとは24日の閣議決定を待つばかり。11月末で4兆2296億円あった裁定買い残は12月第1、第2週の間に6358億円縮小し、充満していたガスが15%抜けた。今週は海外の機関投資家の多くはクリスマス休暇で、市場参加者も減る。海外市場も休場日が多く、休まないのは中国の上海市場ぐらいである。

 このような状況を「真空状態」と呼んだりする。プロ野球で言えば順位決定後に雨天延期分を処理する消化試合のようなもの。国内投資家中心の需給一本槍の相場になりそうだ。昨年までの20年間で、年末最終の5営業日トータルの騰落率がマイナスだった年は3回しかなく「掉尾の一振ウィーク」と期待を集めているが、今年の年末は例年にはない特殊な要素がある。

 今週の最大の懸念要因は、株式の譲渡益課税の20%への税率アップを避けて年度内に株式を売却してしまおうという「節税対策売り」による需給悪化。これは信用買い残や裁定買い残のような売り圧力を推測できるデータがなく、総額でどれぐらい売られるか予測がつかない。最近のトヨタ<7203>の株価の停滞を招いている要因はこれではないかと言われている。その節税売却のデッドラインは25日で、あと2日。売却予定の保有株の株価が1円でも高くなるのを期待して待つ欲張りもいそうなので、24日はもちろん、25日も午後3時の大引けまでいつ特定銘柄の大量売りが出るかわからず、気が抜けない。

 さて、25日から一夜明けて26日には、その日に購入した株のNISA口座への受け入れが始まる。節税対策売りで保有株を売っていったん現金化した後、改めてこの日に株を買い戻してNISA口座に入れるケースも相当あると思われる。枠は1人100万円と少額だが、日本証券業協会の稲野和利会長は18日の記者会見で「500万以上の口座数でスタートする」と述べている。その半分が特典目当ての休眠口座、残りの半分が投資信託に使われると仮定し、26日に総枠の4分の1が個別株買いに使われたとしても1兆2500億円になる。最近の東証1部の売買代金は2兆円を少し超える程度なので、それが買いオンリーで1.5倍になるだけでも相当な需給改善になる。さらに27日からは、NISA口座で株式投資信託が買い付けられて間接的に株が買われる分も加わるので、今週末に現物株取引が買い一方で盛り上がるインパクトは大だろう。