【日経平均】先物買い活発で15500円台を回復し309円高

2013年12月18日 20:19

 17日のNYダウは9ドル安で3日ぶり反落。FOMC結果待ちの様子見で利益確定売りに押された。自社株買いを発表したボーイング、自社株買いと増配を発表した3Mは揃って上昇。スプリントはLTEブロードバンドでディッシュと提携に合意し株価は5.42%の大幅上昇だった。18日朝方の為替レートはドル円は102円台後半、ユーロ円は141円台前半で、ドル円は円高に振れていた。

 ブルームバーグが前日、日銀が早ければ1月の金融政策決定会合で、来年3月末期限の「成長基盤強化を支援するための資金供給」の1~2年間の延長、供給枠の1兆円規模の拡大を決めると報じ、取引時間前の外資系証券売買注文動向は大幅買い越し。日経平均は5.39円安の15273.24円で始まるが、5分ほどで大量の先物買いが入ってプラスに浮上して15300円をあっさり突破し、午前9時22分には15400円も突破。さらに9時36分には15500円にあと1円25銭まで迫って折り返すという朝の快進撃。その後は15400円台後半でのもみあいの時間帯が続いたが、ドル円が円安に振れ103円台に乗せた11時台、満を持して15500円を超えて前引けになった。

 後場は当初15500円台前半の高値もみあいで15500円を割り込む時間帯もしばしば。しかし午後2時台には為替を置いたまま先物に再び断続的な買いが入り値を切り上げ15500円台後半に定着し、2時35分に15587円まで上昇。大引け直前にも15588円まで上昇したが15600円台は乗せられず、309.17円高の15587.80円と、マイナスからの大陽線のローソク足で終了。日中値幅は320円だった。TOPIXは「寄り安の高値引け」で、+18.18の1250.49で1250に乗せた。売買高は25億株、売買代金は2兆4275億円で、FOMC結果待ちとは思えない活発な商いだった。

 値上がり銘柄1148に対し値下がり銘柄は469で全体の26%と意外に多い。値下がりは水産・農林の1業種。値上がりセクター上位は不動産、非鉄金属、銀行、鉱業、輸送用機器、電気機器など。下位は石油・石炭、サービス、空運、金属製品、卸売などだった。

 日経平均採用225種は値上がり207銘柄、値下がりわずか14銘柄。先物主導で値がさ株が買いを集めたためプラス寄与度1~3位を「御三家」が占め合計+85円。売買代金ランキングでも1、6、7位とベスト10入りしたのはメジャーSQ日と同様だった。ファナック<6954>は5月23日前場の上場来高値を更新。マイナス寄与度1位は中外製薬<4519>で-2円。2位は-2円のリコー<7752>で、メリルリンチが収益見通しを下方修正して売られていた。

 メガバンクに東南アジアの話題あり。ミャンマー銀行協会と人材育成で提携した三井住友FG<8316>は売買代金3位で150円高、タイのアユタヤ銀行のTOBで7割超の株式を確保した三菱UFJ<8306>は同4位で16円高。みずほ<8411>も同5位で4円高と商いがにぎわい銀行は騰落率3位。北洋銀行<8524>が公的資金完済を発表し24円高で値上がり率10位に入り、19日上場の足利HD<7167>の露払いをした。その支援スポンサーの野村HD<8604>は11円高だった。

 株価がボックス圏でウロウロしてきたトヨタ<7203>は吹っ切れたように100円の3ケタ高でTOPIXを押し上げ。ホンダ<7267>も3ケタの125円高で自動車は好調。ブラジル工場の増産が報じられたブリヂストン<5108>は50円高と続伸した。ルネサスエレクトロニクス<6723>の鶴岡工場に300億円を投じる買収計画案を改めて示したソニー<6758>は5円高、日立<6501>は16円高で売買高7位。NEC<6701>は6円高で同8位。富士通<6702>は11円高で年初来高値を更新した。13円高のパナソニック<6752>には労働組合が5年ぶりに賃金改善を要求するニュースあり。安倍内閣もベアを望んでいる。シャープ<6753>は逆行安の2円安でカヤの外だった。

 前日のセイコーエプソン<6724>に続きこの日はシチズンHD<7762>とカシオ計算機<6952>が年初来高値を更新。シチズンHDは61円高で値上がり率3位、カシオ計算機は67円高で同14位。セイコーエプソンも108円高で連日年初来高値を更新した。太陽誘電<6976>は67円高で値上がり率15位に入った。

 後場に海外での共同事業を発表した味の素<2802>は28円高、東洋水産<2875>はマイナス圏から急騰して40円高。東レ<3402>は1200億円を投資して2016年をメドに炭素繊維の生産能力5割増強と報じられ16円高。100億円を超えるコストのスリム化に成功と報じられたANAHD<9202>は2円高。100円安のリソー教育<4714>は連日のストップ安比例配分・値下がり率1位。忘年会シーズンでもワタミ<7522>は後場売り込まれ3円安で年初来安値を更新した。

 アニメに強い広告業界3位のアサツーDK<9747>は今期配当を21円上乗せして132円にすると発表し162円高で値上がり率6位。エイチーム<3662>は380円高で売買代金13位、値上がり率4位に入り上値追いミッション再開。ミクシィ<2121>は340円高と大幅に上昇した。

 日経平均を動かす値がさ株と並行して、今週はボーナスが出たためか個人投資家の低位株トレードも活発。中でもマニアックな「株価1、2ケタ銘柄」が売買高ランキング15位以内に2位ユニチカ<3103>、6位キムラタン<8107>、12位ティアック<6803>と3銘柄も入った。

 これも熱心な愛好家がいる新規IPOは4件が集中。中古住宅を新築並みに再生する事業を手がけるジャスダックのイーグランド<3294>は公開価格3300円に対し9時48分に初値4200円がついた。機械やソフトウェアの設計開発アウトソーシング業務を手がけるジャスダックのアビスト<6087>は公開価格3450円に対し9時についた初値は3450円で「引き分け」。施主に建築家や工務店を紹介する事業のマザーズのアーキテクツ・スタジオ・ジャパン<6085>は公開価格2050円に対し1時59分に初値4600円がついた。ビジネス・コンサルティング・サービスを手がけるマザーズのシグマクシス<6088>は公開価格3010円に対し9時に初値がつき3020円でわずか+10円の辛勝。「公開価格<初値」は引き分けをはさんで52連勝だが、また4件ある19日はどうなるか。

 この日の主役は駆け込み需要で商売繁盛の小売業。2大流通グループのセブン&アイHD<3382>は55円高、イオン<8267>は18円高。百貨店も高島屋<8233>18円高、三越伊勢丹<3099>17円高と堅調。ローソン<2651>は7~11月期の経常利益が7期連続過去最高益を更新し70円高。専門店はファーストリテイリング<9983>1050円高、しまむら<8227>100円高、西松屋チェーン<7545>21円高。高額商品だけでなく衣料や日用品や食品も増税前に買いだめされたら、4月以後の落ち込みがますます怖くなる。(編集担当:寺尾淳)