年末年始は電化製品が売れる時期だ。とくに年明け2014年の正月初売りは、景気の高揚気配と消費税前の駆け込み需要から、市場が盛り上がるとみられている。中でも注目すべきは、ここ数年で急速に需要が伸びているスマートフォンやタブレットだ。この年末年始のセール期間に購入や買い替えを考えている人も多いのではないだろうか。とくにタブレットは、この年末商戦からWindows 8.1対応タブレットが市場に続々と投入され始めたこともあり、先行するiPadやAndroidタブレットとの三つ巴の様相を呈している。
高機能に加え、薄型・軽量化が進んできたタブレットはビジネスにも大活躍。ぜひ、カバンの中に滑り込ませておきたいモバイルギアだ。とはいえ、実際に購入を検討しようとすると、どれを選べば良いのか悩んでしまう。OSだけでなく、画面サイズやハードディスクの容量、通信機能など、様々な選択要素があるからだ。単純にファッション的な意味でiPadを選ぶ人は多いが、本当にそれが正しい選択なのだろうか。
IDC Japanが先日発表した、「国内モバイル/クライアントコンピューティング機器 ビジネス利用実態調査」によると、タブレットは、プレゼンテーションや商品説明用途で使われることが多く、営業部門や役員部門、マーケティング部門を中心に利用されているという。また、価格面ではAndroid、セキュリティ面ではiOS、既存システムとの親和性の面ではWindows 8.1タブレットと、それぞれ重視することによって明確に棲み分けされているのが面白い。ただ、これまでPCで行っていた文書作成や資料の成などの業務も、タブレットで行うケースが増えていることや、日本のビジネスシーンではとくに、圧倒的にMacよりもWindowsのシェアが大きいことから、日本でビジネスに比重を置いた使い方をするならば、Officeがフルバージョンで動かせるWindows 8.1タブレットの使い勝手に注目が高まりつつあるようだ。
では、実際に話題のWindows 8.1タブレットには、どのようなものがあるのだろう。まずCPUだが、多くのWindows 8.1タブレットにはIntelがタブレット用に開発したコードネーム「Bay Trail-T」こと、新型プロセッサAtom Z3000シリーズが搭載されている。これは、従来のAtomに比べ、CPUコアのピーク性能を3倍に引き上げられるほか、同一性能であれば消費電力を5分の1に低減できるという。さらに、ローム<6963>がAtomに最適な電源ICを開発し、電気消耗を極限まで減らし、バッテリの寿命延長に成功している。低消費電力と長寿命という点でも、ビジネス向けとしては重宝するだろう。
この年末商戦に向けて各メーカーから発売されたWindows 8.1タブレットのラインナップとしては、「Acer Iconia W4」、「Dell Venue 8 Pro」、「東芝 dynabook Tab VT484」、「Lenovo Miix 2 8」「ASUS TransBook T100TA」などがある。この中では「ASUS TransBook T100TA」が唯一、10.1インチモデルとなっており、他は8インチモデル。10.1インチモデルは解像度が高いものの、当然、大きくて重量もあるため、最近の傾向としては小型軽量な7~8インチモデルに人気が集まっているようだ。
「ASUS TransBook T100TA」以外の8インチモデルについて比較してみると、画面の解像度やメモリなど、基本的なスペックに大きな差はない。タッチ操作に関しては、デルとレノボが10点操作、エイスース、エイサー、東芝が5点操作となっているが、基本は2点までなので、普段操作している程度で差を感じることは少ないかもしれない。バッテリの駆動時間に関しては、平均10時間程度の中、東芝だけが11時間と、僅かに長時間となっている。その代わり、同じ8インチでも東芝のタブレットは445gと最も重量があり、逆にレノボは350gで最軽量となっている。
あとは値段の問題だが、やはりというか、エイスース、エイサー、デル、レノボが4万円台から用意しているのに対し、東芝のdynabook Tab VT484は1万円程高い。このラインナップでは唯一の日本社製品であることと、先述の長時間駆動、またディスプレイが広視野角であることなどを考えると、逆に割安とも言えるかもしれない。
タブレット市場では、先行するiPadシリーズの人気が根強く、さらにAndroidタブレットでも、Googleが展開するNexusシリーズは安定したシェアを誇っている。しかし、使い勝手や利用用途を本気で考えたとき、後発のWindows 8.1タブレットにも充分巻き返せる要素はある。(編集担当:藤原伊織)