「Internet of Things」、つまり「モノのインターネット」と翻訳されている言葉だ。我々が日常的に使っている、以前からある「パソコンによるインターネット」、そしてここ数年で日常化した「スマートフォンやタブレット端末によるインターネット」の次に登場するインターネットの姿が「Internet of Things」だという。2012年あたりから米国で現実的な市場と認識されてきた概念である。
パソコンやスマホのような情報機器だけでなく、自動車や家電、商業施設、建設機械や産業機器などさまざまなモノにコンピューティング機能と通信機能を持たせてネットワークに繋ぎ、効率的で利便性が高く持続性の高い社会インフラを実現するという概念だ。そんな世界が、もうすぐそこまで来ているらしい。具体的な例で現実味があるのは、家庭の電気メーターと電力会社のコンピュータを繋いで、人間の電気使用量検針作業を省き、なおかつ電力供給の最適化を図るスマートグリッドが考えられる。
インテルによれば2013年現在、インターネットに接続するデバイスは世界で100億を超えているとされる。が、「Internet of Things」が進めば、2020年には500億を超えるモノがネットに接続されると予想している。
そのためにインテルは産業機器向けの「Internet of Things」とインテリジェントシステムに最適化した「Intel“Atom”プロセッサーE3800」製品ファミリーを10月に発表した。メディアグラフィックスのパフォーマンス向上、産業用温度領域への対応、統合された画像信号処理などの特徴を持ったチップだ。産業機器や工作機械・ロボットなどをネットに繋ぐ意味は、生産の効率化や予想補修などの適切化、産業機器からのデータ収集、アナリティクスの提供などが挙げられる。もちろん、強固な統合セキュリティも必要だ。
この「Intel“Atom”プロセッサーE3800」製品ファミリー用のパワーマネジメントIC(PMIC)が早くもリリースされた。新しいプロセッサー用PMIC「BD9596MWV」を開発したのは、京都に本拠を置く半導体メーカー、ロームだ。業界をリードする高い電力変換効率を誇るローム製のICは、単なるプロセッサー駆動用専用ICという枠を超えたパフォーマンスを実現するという。
今回、ロームが発表したAtomプロセッサーE3800製品ファミリー用PMICは、2010年のAtom プロセッサーE600番台用チップセット、2013年3月のタブレット向けPMICに続く第3弾。ロームでは、今後もPMICのラインアップ充実を図り、デジタルAV機器や家電など民生機器から産業機械まで幅広いユーザー対してサポート体制を構築するという。(編集担当:吉田恒)