日本における輸入車ブランドは完全にドイツメーカーに席巻されている。が、フランス、イタリアのラテン・ブランドだって負けちゃいない。
2013年1-11月期の仏・伊自動車ブランド別登録台数を眺めてみよう。何とフィアットが6159台、プジョー5319台、ルノー3350台、アルファロメオ2678台、シトロエン2625台と続く。これは、JEEP(4336台)、フォード(3473台)を除くアメリカンブランドを完全に凌駕する数字なのだ。ちなみにフォード・ブランドには欧州フォード製のフォーカスが相当数含まれている。
この数字を見て驚いたのはフィアット車の躍進だ。前年比で120.8%となり、プジョーを抜いてラテン車トップに立っている。人気の秘密はフィアット500、あるいはニュー・パンダが牽引している結果だ。
プジョー車だって悪いクルマではない。が、フィアットのA・Bセグメントである「パンダ」「500」に相当するプジョー208が難しい立ち位置にいる。まず、200万円を切るエントリーモデルが5速マニュアル車だけの設定で、2ペダルモデルがない。スポーツモデルのGTiが6速マニュアルだけなのは良いとしても、限りなく300万円に近いという高価格も疑問だ。コンセプト、スタイリングともにユニークで個性派の3008シリーズも高価格で手が出しにくいモデルだ。モデルラインアップは非常に多くて選択肢が豊富に見えるプジョー・ブランドだが、戦略的なモデルが見当たらない、ということだと思う。
根強い人気なのがルノー車で前年比116.2%だが、来期は2013年9月に日本にやってきた新型ルーテシアはルノー・スポールのインパクトのある走りで、更に躍進が見込める。ルノー・日産アライアンスという枠のなかで絞り込んだ車種展開で堅調だったといえそうだ。
いずれにしてもラテン・ブランド車、A・Bセグメントでの熾烈な競争のなかで頑張っている。日本にもマーチやヴィッツとは違う、個性派コンパクトを求める人は多いのだ。2015年、次回東京モーターショーには是非ともフィアット・グループとして、フィアット、アルファ、そしてフェラーリの参加を期待したい。(編集担当:吉田恒)