日本国内のデジタルカメラの2013年のトレンドは、携帯搭載からスタートしてスマートフォン搭載に至って進化したカメラ機能にある。スマホカメラが低廉でシンプル操作のコンパクトデジタルカメラを完膚なきまでに駆逐したことに尽きるだろう。これまで日常的に「小型簡単コンデジ」を持ち歩いて、日常を記録していた女性や若者のバックやポケットには、スマートフォンが入っている。コンデジが画素数を競い合っていた時代は遠い過去のコトなのだ。
結果としてコンパクト機は、スマートフォンのカメラ機能では代替撮影できない「作品を撮る」領域での勝負になっていった。
スマートフォン・カメラが進化したことでデジタルカメラにはクオリティの高い撮影結果が求められるようになった。ハイアマチュアを中心にデジタル一眼レフへ移行。さらにキヤノンでは入門一眼レフ「EOS Kiss」をカメラ初心者や主婦層にもアピールして攻勢を掛けた。その結果、2010年3月にはデジカメ市場において一眼レフは台数で10%、金額ベースで30%に達した(CIPA:社団法人カメラ映像器機工業会調べ/以下同)といわれる。
そのような中、2008年にデジタル一眼レフで劣勢に立っていたパナソニック、オリンパス等のフォーサーズ陣営が「マイクロフォーサーズシステム」規格を策定。パナソニックが世界初のミラーレス一眼「LUMIX DMC-G1」を発表した。オリンパスも追随してミラーレス一眼の市場が拡大する。2011年にはニコン、ペンタックスが参入、2012年には遂にキャノンも同社交換レンズが使えるミラーレス機を発表した。日本におけるレンズ交換式カメラのマーケットは2009年時点でキャノンが39.1%、ニコンが31.3%を占めたが、ミラーレス一眼の登場後には変化の兆しが感じられる。
2013年1~10月期の国内向けデジタルカメラの出荷台数は636万4630台。これは前年比87.3%、金額ベースでは前年比96.7%と市場規模で、昨年同期と同レベルを維持しているように見える。ただ、内訳を見るとレンズ交換式が台数ベースで前年比128.5%と大きな伸びを見せているのに対し、コンパクト機は台数で77.5%(金額で78.9%)とマイナス傾向を示している。
カメラメーカーの製品ラインアップを見渡しても、数年前のように低価格で玩具のようなデジカメを多数揃えるブランドは皆無。また、製品そのもののライフサイクルも長めになってきている。
一般的なユーザーが購入するデジタルカメラは、比較的多機能で高品位撮影が可能なハイアマチュア向け一眼レフ、ミラーレフ一眼が主流になったと言えるのだろう。ただし、「ミラーレス機が一眼レフを席捲する」という見方にはやや疑問符が付きそうな数字もある。前述の2013年1~10月期国内向け出荷台数で一眼レフは139.8%(113.7万台)、ミラーレス機112.8%(65.6万台)であり、ミラーレス機の倍近い一眼レフが出荷された。もちろん金額ベースでは倍以上の開きがある。(編集担当:吉田恒)