【コンビニ 2013年の振り返り】売上高も来店客数もプラスが続いたのは、入れたてコーヒーのおかげだけではない

2014年01月05日 20:02

 2013年、元気がよかった業界の一つが「コンビニエンスストア」である。日本フランチャイズチェーン協会のデータによると、2013年11月までコンビニ全店の月間売上高は9ヵ月連続のプラス、月間来店客数は32ヵ月連続のプラスを記録した。既存店ベースではマイナスの月も多いが、それを大量の新規出店でうまくカバーできていた。

 年末の「日経MJヒット商品番付」では、セブンイレブン店内で100円で提供した入れたてコーヒー「セブンカフェ」が東の正横綱、つまりその年の一番のヒット商品に挙げられていた。約1年で累計3億杯を販売し、日本人全員が「セブンカフェ」のコーヒーを平均2杯以上飲んだ計算になる。

 業界の「3強」ことセブンイレブン・ジャパン(セブン&アイHD<3382>傘下)、ローソン<2651>、ファミリーマート<8028>の決算も非常に好調で、8月中間期でセブンイレブン・ジャパンは営業収益と営業利益が過去最高で、ローソンは営業利益が過去最高。ファミリーマートは純利益が過去最高だった。しかし、3強に次ぐクラスのサークルKサンクス(ユニーGHD<8270>傘下)は39%の営業減益、イオングループのミニストップ<9946>は18%の営業利益と苦戦を強いられ、元気な業界と言いながら3強とその下とで業績がはっきり二極化したのも2013年の特徴だった。国内店舗数を見ても、セブンイレブン16020店(12月末現在)、ローソン11536店(11月末現在)、ファミリーマート10162店(11月末現在)を合計すると37718店で、11月末の全国のコンビニ店舗数49146店(日本フランチャイズチェーン協会調べ)の76%を占めていた。3社とも2014年は1000店を超える大量新規出店を予定しているのでシェアが8割を超えるのはまず確実で、「3強にあらざればコンビニにあらず」という寡占の時代が近づいている。

 「セブンカフェ」が登場したのは1月で、ローソンもファミリーマートも後から追随し「コンビニ・コーヒー戦争」と呼ばれた。しかし経営戦略は3強それぞれ独自色を示していた。セブンイレブンは大量出店によるスケールメリットの追求および店舗、商品の作り込みで量と質の両方の向上を狙う路線。ローソンは無理な出店はせず店舗、商品の作り込みという質の部分の向上を目指す路線。ファミリーマートは大量出店による量の拡大を目指す作戦に力を注いだ。

 ファミリーマートは、2013年度の新規出店予定を1500店としセブンイレブンに数字をピタリと合わせたことで「無謀」とも言われたが、採算はそれほど悪化せず、10月には国内店舗数1万店の大台に乗せている。セブンイレブンは3強で唯一8月中間期の既存店売上高がプラスになる強さを見せた。商品力もPB「セブンプレミアム」がセブン&アイHDの総合力を背景に高い利益率を誇り、「金の食パン」のようなヒット商品をコンスタントに出した。弁当や惣菜が人気を呼んだローソンはキャッチフレーズを「マチのほっとステーション」から「マチの健康ステーション」に変え、店舗でも商品でも「健康」を基本コンセプトに据えている。

 3強は全て中国、東南アジアを中心に海外店舗網を持ち、セブンイレブン51588店(9月末)、ローソン482店(11月末)、ファミリーマート12949店(11月末)の合計65019店で国内の1.7倍に達する。しかし、直営店中心の高コスト構造、新規出店や営業時間などの規制、現地パートナー企業とのあつれきなどもあり、国内と比べると決して順調とは言えない1年だった。(編集担当:寺尾淳)