【日経平均】大発会は382円の大幅安で2014年スタート

2014年01月06日 20:25

EN-d_300

大発会セレモニーでは麻生財務大臣があいさつし2014年の取引開始。大発会の日の過去15年間の騰落は12勝3敗の好成績だが143.77円安の16147.54円で始まる

 日本が年末年始の休みで6日間休場した間、NY市場の休場は1日の「ニューイヤーズ・デー」だけ。NYダウ終値は12月30日は25ドル高、31日は72ドル高の16576ドルで終値史上最高値を更新し2013年の取引を終えたが、年が明けて1月2日は135ドル安、3日は28ドル高。12月30日にはドル円105円、ユーロ円145円にタッチしていた為替レートは、1月6日朝方はドル円104円台後半、ユーロ円142円台半ばで、1月1日にバルト三国のラトビアが18ヵ国目の参加国に加わったユーロが大幅に安くなった。

 大発会セレモニーでは麻生財務大臣があいさつし2014年の取引開始。大発会の日の過去15年間の騰落は12勝3敗の好成績だが143.77円安の16147.54円で始まる。午前9時10分すぎに16100円を割り、10時を回ると16000円も割り込んで下落が止まらず、10時51分、大納会終値より426円も安い15864円の安値をつけた。1月2日にNYダウに連動して16000円を割ったCME清算値にサヤ寄せし、為替が9時以降は円高方向に振れ、上海市場は大幅続落。9日続伸後の高値警戒感も重なったとはいえ、正月気分を吹き飛ばす大量の先物売り。前引けは15936円だった。

 後場は16000円台に定着しそうでしないもみあいが続く。先物の売り買いが出てくれば変動、引っ込めば水平飛行というパターンは年末と変わらない。午後2時を回る頃から高度を徐々に下げて15950円を下回るが、日経平均が350円を超える下落でTOPIXがマイナスでも値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回る「珍現象」が出現し、小型株は堅調。日経平均終値は382.43円安の15908.88円で10日ぶりに反落し日中値幅は300円もあった。TOPIXは-10.14の1292.15で5日ぶりに反落。この日から新株価指数「JPX日経400」の算出が始まり、始値11728.21、高値11756.19、安値11594.65、終値11669.06。値動きのグラフはTOPIXのそれとほとんどピタリと一致した。売買高は29億株、売買代金は2兆6281億円と大発会らしく多かった。

 小型株指数が+4.93とプラスだったこともあり、値上がり銘柄906は値下がり銘柄761を上回った。東証1部の33業種別騰落率はプラスが空運、金属製品、その他製品、卸売の4業種で、マイナスの29業種で下落幅が小さかったのは水産・農林、電気機器など。大きかったのは鉱業、海運、情報・通信、不動産、ゴム製品、証券などだった。

 日経平均採用225種は上昇34銘柄、下落186銘柄。先物主導だったのでマイナス寄与度1~4位は「日経平均寄与度四天王」の揃い踏みで合計-176円。5位も上位常連の京セラ<6971>で-11円だった。プラス寄与度1位はパナソニック<6752>、2位は日立<6501>と電機株が占めたが、合わせても寄与度は+2円しかなかった。

 メガバンクは三菱UFJ<8306>8円安、みずほ<8411>値動きなし、三井住友FG<8316>10円高とバラバラ。りそなHD<8308>は7円高と好調だった。NISA(少額投資非課税口座)が開設予定も含めて年末に400万口座を超えたと報じられたが、野村HD<8604>は10円安、大和証券G<8601>は19円安と証券株はふるわなかった。

 トヨタ<7203>はアメリカでの12月の自動車販売が前年同月割れして120円安と3ケタ安になり、ホンダ<7267>55円安、マツダ<7261>9円安と自動車株は全般的に不調だったが、日産<7201>はアメリカでの新車販売が11%増と好調で14円高。ソニー<6758>は家電部門の国内5工場の早期退職を募集して24円安だったが、パナソニックは同じようにリストラの話題があっても30円高と買われ昨年来高値(3月末までは2013年の年初以来の最高値を昨年来高値と呼ぶ)を更新した。NEC<6701>も4円高。安川電機<6506>は中国の産業用ロボット工場の生産機種を8機種程度に倍増させると報じられ、7円高で昨年来高値を更新した。

 国土交通省が2014年度から道路の橋やトンネルの定期点検を自治体に義務づけると報じられ、橋梁関連の日本橋梁<5912>が14円高で売買高12位、値上がり率16位、駒井ハルテック<5915>も30円高で値上がり率12位と買われた。健全性評価の全国統一基準を導入し補助金の創設も検討するという。

 国際線の拠点機能の一部を成田から羽田に移すと報じられたANAHD<9202>は10円高で売買高4位になり、空運セクターは騰落率トップ。任天堂<7974>は310円高でその他製造セクターを騰落率3位に押し上げた。12月20日オープンの「イオンモール幕張新都心」が客足好調と伝えられたイオンモール<8905>は28円高。イオン<8267>も12円高で昨年来高値を更新した。

 この日、小型株最大のヒーローがティアック<6803>で、11円高で昨年来高値を更新し値上がり率10位、売買高5位とランキング入り。藤倉ゴム<5121>の人気は年が明けても衰えずストップ高比例配分の300円高で値上がり率2位。この日はフジクラ<5803>グループの兄弟会社の藤倉化成<4620>と、同じ電池関連の古河電池<6937>を値上がり率3位、4位に巻き込み、揃ってストップ高比例配分になっていた。年末に冷凍食品の農薬検出騒ぎが起きたマルハニチロHD<1334>は、「食べて吐いた」という類の話が全国に拡大する一方、何者かが農薬を故意に混入させたのではないかと警察が捜査に入り、株価は3円安と落ち着きをみせた。

 大納会で買われた天馬<7958>は116円安で値下がり率2位、ペガサスミシン製造<6262>は12円安、東京都競馬<9672>は16円安と縁起物は「お焚き上げ」に納まった。株(株券不発行なので約定通知?)を枕に良い初夢を見ただろうか。今年末の縁起物はニッケ(日本毛織)<3201>あたりだろうか。

 この日の主役は鉄道車両、原発などインフラ輸出の旗手の日立。日経平均が急落してもビクともせず24円高で4日続伸し昨年5月20日の昨年来高値を更新した。大納会の3.8倍の7579万株が買われ売買高3位、売買代金5位。効率的な風力発電機を開発し、さらに経済産業省が洋上風力発電向けに1キロワット時35円の買取専用価格を新設して優遇するというニュースがあり、4日の日経新聞には医療機器子会社の完全子会社化や海外空調事業の切り出しを相次いで発表して「明らかに経営のスピードが上がっている」という幹部のコメントが載っていた。同じ重電の東芝<6502>も新型メモリの量産開始報道があり4円高。激動の2013年はiPS細胞や3Dなどコンテンポラリーなテーマ株が物色され、ガンホー<3765>やミクシィ<2121>のようなアグレッシブな値動きをする銘柄がもてはやされたが、2014年はコンサバティブでも「政策に売りなし」で堅実な日立のような銘柄が見直される年になるかもしれない。1年の計は大発会にあり、である。(編集担当:寺尾淳)