【日経平均】大納会は112円高で激動の2013年の取引終了

2013年12月30日 20:16

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日経平均採用225種のプラスは181銘柄、マイナスは33銘柄で大納会を締めくくった。

 27日のNYダウは1.47ドル安。前日まで6日続伸し日経平均の8日続伸、ロンドン市場の6日続伸と日米英で高値取り競争をしていたが、7営業日ぶりに反落した。経済指標の発表も決算発表もなく材料に欠ける中、ソフトバンク<9984>傘下のスプリントはTモバイルUSの買収早期化観測で8.3%の大幅高だったが、全般に利益確定売りに押されナスダックもS&P500もマイナスで終えた。27日にドル円105円、ユーロ円145円にタッチした為替レートは、30日朝方はドル円が105円台前半、ユーロ円が144円台後半だった。

 1年の最終取引日の大納会は、「掉尾の一振」と言われながら過去15年間の騰落は8勝7敗とかろうじて勝ち越しで、年末年始の休み前にポジションを手じまいする利益確定売りが出やすい傾向があるが、日経平均は早朝からドル高円安が進んだこともあり90.28円高の16269.22円で始まる。午前9時29分に16182円まで下落した後、10時台は16230円近辺まで戻す。上海も香港もプラスで始まりおおむね16230~16250円のレンジで動き、前引けは16240円だった。

 後場はいったん凹んでも、すぐに前場と同じレンジまで底堅く戻す。1時台は16260円近辺まで上昇してもみあった後、今年ラストの日経平均年初来高値取りラリーの始まり。2時台後半に16300円を突破し2時46分に16320円まで上昇するが、「お待ちしておりました」と利益確定売りが立ちはだかって急落。それでも最後まで粘って抵抗し、112.37円高の16291.31円で終値ベースの年初来高値を更新して激動の2013年の取引を終えた。9日続伸は2009年7月以来。日中値幅は138円だった。TOPIXは4日続伸し+12.22の1302.29で、2008年7月以来の1300台に乗せた。NT倍率は12.50とさらに圧縮。売買高は29億株、売買代金は2兆2099億円で引け際に急増していた。日経平均先物の日中取引終値は16320円。東証2部もマザーズもジャスダックも東証REIT指数も全てプラスで、末広がりの大納会になった。

 値上がり銘柄は1492で東証1部全体の84%を占め、値下がり銘柄は217。業種別騰落率はプラスが30業種で、マイナスがパルプ・紙、水産・農林、その他金融の3業種。プラスのセクターの上位は石油・石炭、鉱業、不動産、卸売、銀行、非鉄金属など。下位はゴム製品、食料品、鉄鋼などだった。

 日経平均採用225種のプラスは181銘柄、マイナスは33銘柄。プラス寄与度1位は+5円の京セラ<6971>で、ファナック<6954>、ファーストリテイリング<9983>を2位、3位に従えた。5位の三井不動産<8801>は6日続伸の75円高で年初来高値更新、6位の住友不動産<8830>も70円高で年初来高値更新、13位の三菱地所<8802>は60円高で、不動産セクターは業種別騰落率3位と好調。日経平均だけでなく時価総額も大きいためTOPIXにも寄与していた。マイナス寄与度1位はソフトバンクで-2円。2位は-1円のクレディセゾン<8253>だった。

 TOPIX寄与度が高いメガバンクは、みずほ<8411>が売買高1位の3億株が売買され7円高で3日続伸。三菱UFJ<8306>は17円高、三井住友FG<8316>は10円高で年初来高値を更新した。証券大手は野村HD<8604>1円高、大和証券G<8601>5円安となぜか不振だったが、SBIHD<8473>が62円高と健闘した。

 自動車のトヨタ<7203>は30円高で4日続伸し株価を6400円台に乗せ、11月末頃の水準まで戻った。富士重工<7270>は26円高で4日続伸し年初来高値を更新。2円高で年初来高値更新のマツダ<7261>は2013年の年間上昇率最大の銘柄になった。2番目はソフトバンク。12月後半は好パフォーマンスを示していた自動車部品のデンソー<6902>は40円高で連日の年初来高値更新。

 ソニー<6758>は電池事業の売却を見送って中核事業として育成するニュース、日産<7201>やANAHD<9202>とともにアメリカのベンチャー発掘基金に310億円を出資するニュースがあり41円高。日産は2円高、ANAHDは値動きなし。富士電機<6504>は、GEとの合弁のGE富士電機メーターで2014年度から次世代電力計(スマートメーター)の量産を開始する材料があり11円高、年初来高値更新と買われた。日本電産<6594>の永守重信社長がHDD用小型モーターを3年ぶりに増産すると発言すると、ウインドウズXPのサポート終了でパソコンの買い替え需要が高まる期待でNEC<6701>は7円高。日本電産は年初来高値を更新して10円高。「特需」と呼ばれるほど盛り上がれば、スマホやタブレットに押されて縮小続きだったパソコンの販売にも春が来る。

 ユニ・チャーム<8113>はブラジル・サンパウロの工場で来年6月頃から乳幼児用の紙おむつを生産すると伝えられ150円高で株価を6000円に乗せた。同じ紙でも日本製紙<3863>は122円安で値下がり率2位。円安による燃料費高騰が響き4~12月期の営業利益3%減という業績観測報道が嫌気された。この日は大手商社が買われ、三井物産<8031>は売買代金15位で34円高、三菱商事<8058>は同18位で38円高、住友商事<8053>は28円高、伊藤忠商事<8001>は21円高になっていた。

 値上がり率1位の日本ケミカルリサーチ<4552>は再生医療関連銘柄で、培養した細胞を初めて医薬品として承認申請すると報じられ400円高でストップ高比例配分。以下、値上がり率ランキングをにぎわせたのが個人投資家に人気の中・小型建設株で、5位の大豊建設<1822>は一時ストップ高の53円高で10月以来の年初来高値を更新し売買高4位、売買代金5位。9位には飛島建設<1805>、13位には淺沼組<1852>、16位には売買高2位、売買代金10位の熊谷組<1861>が入った。

 大納会は毎年、新年の干支にちなむ〃縁起物〃銘柄に買いが入る〃伝統〃がある。巳年の昨年は蛇の目ミシン<6445>が大幅高になったが、今年は字面も縁起がいい樹脂成型メーカーの天馬<7958>が連日の年初来高値更新で86円高。さらにギリシャ神話の翼をもつ天馬、ペガサスミシン製造<6262>がストップ高の56円高で値上がり率4位に入った。地上を走る馬のほうは東京都競馬<9672>が21円高。大井競馬場は大みそかまで開催している。

 この日の主役は「食の安全」で由々しきニュースがあったマルハニチロHD<1334>。子会社のアクリフーズが製造した冷凍食品から農薬が検出され、群馬県が立ち入り調査に入って約13億円分の商品を回収する騒ぎになった。ニュースを聞いて全国の家庭で同社の製品はないか冷凍庫がチェックされたはずで、5円安で値下がり率12位。日本水産<1332>まで3円安と連れ安し、水産・農林は下落セクターに入っていた。

 史上最高値を記録した1989年と同様に終値が今年最高値で引けた後、大納会セレモニーに安倍首相が登場した。アベノミクスで明けアベノミクスで暮れた1年だけに、まさにふさわしいキャスティング。総理大臣の打鐘で2013年の株式市場を締めくくった。(編集担当:寺尾淳)