景気回復、消費税増税。2014年、住宅購入に最適な時期はいつ?

2014年01月08日 20:12

 住宅購入を検討している人にとって、今は一番、買い時の見極めが難しいときだ。

 まず、直近の問題として、4月に迫った消費税増税がある。3パーセントの増税は不動産のような高額の買い物をする場合、その差は大きい。単純に計算しても、1000万円あたり30万円の負担増。3000万円クラスのマンションでも購入したなら、消費税増税の差額分だけで新しい家電製品が軽く揃えられてしまう。しかも、消費税増税の影響は引っ越し費用や登記手数料等にも及ぶ。こうなると当然、増税前に購入を決断しようというのが心理だ。

 実際、住宅メーカー各社とも、2013年9月は注文住宅の受注金額が大幅に伸びている。

 積水ハウス<1928>が前年同月比74パーセント増と今年最高の伸び率を記録したのをはじめ、住友林業<1911>が65パーセント増、大和ハウス<1925>も35パーセント増と、いずれも大きく伸びた。とはいえ、駆け込み需要はそれでも、思いのほか穏やかだったようだ。これは、拡充された「住宅ローン減税」や「すまい給付金」の影響が大きい。これらは、前回の増税時のような、増税後の市場の冷え込みを避ける目的で政府が設けたものだが、この「住宅ローン減税」や「すまい給付金」を利用することで、増税前に慌てて購入に踏み切るよりも、年収やローン内容などによっては増税後に購入した方が有利な場合もある。お陰で、住宅メーカー側でも大きな混乱はなかったようだ。

 もちろん、消費税率の引き上げは消費者にとってネガティブな要因であることには違いない。住宅の売行きも多少は鈍るだろう。住宅メーカー各社でも、その落ち込みを緩和するため、スマートハウスなど付加価値の高い商品を投入することで収益の上積みを図ったり、設計や工事にかかる期間を短縮して経費削減を行うと共に、引き渡し時期を早めることで顧客の満足度を高めるなどの努力をしている。

 しかし、住宅業界にとって、2014年は4月の増税以外にあと二つ、大きな波がある。

 その一つは、来年15年に控えた10パーセントへの税率引き上げ、そして景気の上昇だ。景気が上昇すれば当然、住宅ローンの金利も上がる。2014年1月の住宅ローン金利は、みずほ銀行を除く大手銀行で10年固定型を中心に0.05%の引上げとなった。しかし、依然として低金利水準であることに変わりはなく、日銀も物価上昇率が2%程度の水準になるまでゼロ金利政策を継続する予定であることからも、今すぐに大幅に上昇することは考えにくいものの、徐々に上がることは覚悟しておく必要があるだろう。

 短期プライムレートに連動する住宅ローンの変動金利は、少なくとも2014年中は横ばい状態が続くと考えられるものの、固定金利に関してはその限りではなく、じわじわと上昇していく可能性がある。実際、2013年の金融機関の動きに、超低金利競争からの脱却を意図したものが見られ始めている。店頭金利はそのまま据え置きでも、優遇幅の縮小や審査の厳格化による実質的な適用金利の引上げが行われることは、想定しておきべきだろう。

 アベノミクスが功を奏し、このままデフレから脱却してインフレ経済が定着すれば、金利も上がる。株価も、2013年12月30日の東京株式市場の日経平均株価終値は1万6291円31銭。前年末から56.7%上昇し7年ぶりの高水準を記録している。日本経済の動向としては健全で喜ぶべきことだ。しかし、住宅の購入を考える際には、次の消費増税のタイミングも含め、2014年は買い時を見極めることが困難且つ重要な年になりそうだ。(編集担当:藤原伊織)