2013年度の国内太陽電池市場は、世界トップの導入量に

2013年12月31日 13:03

 富士経済がまとめた「2013年版 太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望」によると、2013年の世界太陽電池市場は、12年の落ち込みから回復し、金額ベースで前年比17.6パーセント増となる3兆889億円になる見通しだ。出力ベースでも順調に拡大しており、同じく前年比19.5パーセント増の41,905MWとなっている。

 市場全体としては、欧州は縮小傾向にあるものの、日本や北米、中国やインドなどの新興国が順調。また今後の展開としては、日照条件が適するアフリカや南米、東南アジアなどの地域での需要の増加が見込まれている。

 日本の太陽電池市場は、2012年7月に施行された再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の影響から市場が大幅に拡大し、それが13年度に反映された形となって、2013年度の産業用は導入量ベースで前年比7.9倍となる5,500MWとなり、国内市場全体としては、7,050MWで世界トップの導入量となる見込みだ。

 FITの恩恵については様々な意見や推測があるものの、概ね3年間限定ともいわれており、2015年度以降、市場は縮小に転じると予測されることが多いようだ。大きな課題は、

 買取価格の引き下げと設置場所の不足だ。公共・産業用は、投資目的で導入されることが多く、そのため、住宅用と比べて買取価格の引き下げに反応しやすくなってしまう。買い取り価格が引き下げられてもハードウェアのコストや工事コストが据え置きでは、成長は鈍化し、縮小に向かうのは避けられない。工事コストを下げて市場の縮小を回避するためには、大規模な統計資料を作成し、標準的な工法を開発すること、そしてその工法に基づいて効率的な作業ができる技術者を育成することが急務となる。
 
 設置場所に関しては、飽和状態というわけではなく、これから開拓すべき分野である。産業施設の屋根だけでなく、壁面設置など、まだまだ実験段階にあるものが多い。今後、効率的且つ経済的な技術が実用化されれば、問題は解決されるだろう。

 一方、住宅用は今後も緩やかな伸びが予測されている。2013年6月に住宅金融支援機構が発表した「住宅取得に係る消費実態調査(2012年度)」によると、2012年度に一戸建てを購入した世帯のうち、4分の1を超える26.2パーセントもの高い割合で、建築時に太陽光を導入していることが分かった。ちなみに、08年度には4.6パーセントだったものが、11年度には22.6パーセントにまで急成長し、順調に成長している。近い将来、未導入の既築住宅が減少してしまうことを懸念する声もあるが、新築一戸建てや建売物件では、太陽光発電の導入が標準になりつつある。また、住宅メーカー側でも消費税導入後の住宅の付加価値の一つとして、スマートハウスの提案を積極的にはじめており、深刻な市場縮小にはならず、むしろ安定して緩やかな伸びをみせることが予測される。

 東京オリンピックの誘致にも成功し、日本に対する世界的な注目も高まる中、経済的な利点もさることながら、日本のこれからを世界にアピールする意味でも世界トップの導入量を維持し、太陽光発電や再生可能エネルギーを活用していくことは、2014年以降も積極的に取り組んでいくべき国民的な課題だ。(編集担当:藤原伊織)