国内エステサロン市場、底打ちもリーマン・ショック前には戻らず

2014年01月13日 20:08

 国内エステサロン市場が、長い低迷期を抜けつつある。矢野経済研究所によると、13年度のエステティックサロン市場規模(事業者売上高ベース)は 3554億円で、前年度比101.8%となる見込み。サロンの経営者数・来店客数・顧客単価のいずれも、13年で底を打ったと見る業界関係者が多い。

 市場規模が前年比を上回ったとはいえ、エステ業界の売上高はいまだにリーマン・ショック前の水準を回復できていない。05年には4000億円を超えていたエステ市場は、相次ぐ消費者被害を受けてクーリング・オフや契約の中途解約がしやすくなったこともあり、縮小傾向が続いていた。

 追い打ちをかけるように08年のリーマン・ショックが起こり、メイン顧客である女性たちの消費意欲が一気に冷え込む。09年には前年度比94%の3639億円まで落ち込み、以降は長く低迷が続いていた。エステ業界の売上高は、この8年間で450億円も縮小している。

 不況に加え、消費者の信頼が得られていないことが低迷の理由であると考えた業界は、09年に「エステティックサロン認証制度」や「エステティシャン試験認証制度」などをスタート。経済産業省のガイドラインにそった認証マークを付与することで、「安心・安全」をアピールしてきた。だが大手のTBCグループなどは、05年からすでに別の業界団体の「認定エステティシャン資格」をメインで導入しており、制度が1つに統一されているわけではない。

 このような状態ではあるが、多くのサロンでは技術や接客レベルの向上を図るなどして、企業イメージとブランド力の強化に務めてきた。既存店舗のリニューアルやスクラップ&ビルドも進み、脱毛市場では低価格の脱毛チェーンが急速に事業を拡大している。

 これら一連の動きが相まって、エステ業界の売上高は全体的に回復しつつある。リーマン・ショック前の水準を回復するにはまだ時間がかかるが、業界には明るい兆しが見えてきたといえるだろう。(編集担当:北条かや)