太田昭宏国土交通大臣は21日、軌道変位の放置や検査データ改ざんなど交通安全上、深刻、悪質な問題が明らかになったJR北海道に対し、「社を挙げて深く反省する必要があり、企業体質・組織文化を含め構造的な問題について改革が必要」として(1)改ざんの根絶(2)安全管理体制の再構築(3)安全確保を最優先とする事業運営の実現(4)技術部門の業務実施体制の改善(5)第三者による安全対策監視委員会(仮称)の設置を行うよう鉄道事業法に基づく事業改善命令などを発表した。
また、安全統括管理者の解任を命じるとともにATSスイッチを破壊した運転士については動力車操縦者運転免許を取り消すとした。これらについては「必要な弁明、聴聞手続きを経た後、発動する」(太田大臣)。
また、太田大臣は、刑事告訴についても「特別保安監査の結果を踏まえ、北海道警察と相談をしている」とした。
太田大臣は「日々の輸送の安全を確保しつつ、着実に、かつ、スピード感を持って会社一丸となって取り組んでいくことを改めて強く求めて参りたい」と語った。
一方、JR北海道は21日、軌道変位検査データ書き換えなどの調査結果と再発防止策を発表した。関係社員らの処分も行った。
調査結果では「軌道整備基準値に対する重要性の認識不足などにより、過去から一部で検査データの書き換えなどが日常的に実施されている実態があった」などと驚くべき報告も記されている。
また、ベテラン社員の退職などで施工能力の低下があったとしたほか、本社による現場実態の把握不足もあげた。
これらを踏まえ、JR北海道は(1)全保線系統社員の指導・教育の徹底をはじめ(2)検査業務の適正化、装置化、システム化を図る(3)長期展望に基づく設備投資、修繕予算の確保(4)グループ会社と一体となった業務運営の適正化(5)軌道関係検査内容の見直しを図ることなどを再発防止の改善策としてあげた。(編集担当:森高龍二)