21日、三菱重工業<7011>と日立製作所<6501>は、中国でのガスエンジンによる分散型発電システム事業で協業すると発表。エンジンなどの製品販売において実績のある三菱重工業と、エンジニアリング業務を得意とする日立製作所が手を組み、合弁会社を設立することとなった。これにより、成長が期待される市場での事業拡大を目指す。中国政府は、天然ガスを燃料とした高効率な分散型発電システム導入を打ち出している。三菱重工業と日立製作所の両社は、機器の販売から省エネソリューションに至るまで、一貫して提供することの出来るシステムを構築することで、需要の取り込みをもくろむ考えだ。
増加する電力需要に対応するため、中国政府は2020年までに、環境性に優れた天然ガスを燃料とする、5000万キロワット(kW)規模のガスエンジンによる分散型発電システム設備を導入するとの方針を打ち出している。大型の発電所と比較して、分散型発電システムは小規模でありながらエネルギー利用の効率が良く、内陸部や離島では、工場や商業施設に近い場所への設置が見込まれている。今回の三菱重工業、日立製作所の協業により、今後の成長が期待される中国におけるガスエンジンの分散型発電システム市場において、シェアの拡大を狙う。
火力発電や原子力発電と比較すると、ガスエンジンによる分散型発電はエネルギー利用率が高いため、特定の地域に向けた利用、例えばショッピングモールや工場などの施設に特化した小規模な発電システムとしての利用が期待されている。またこのシステムに関しては、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)なども事業強化を目指している。
今回、こうして分散型発電システム事業に本格参入する三菱重工業と日立製作所だが、中国においてエンジンや発電機器の販売を手がける三菱重工業の子会社の株式35%を、日立製作所が取得することで、今年中に合弁会社化する予定だ。
日立製作所はコージェネレーションシステム(発電時の排熱を利用する、熱電併給システム)や省エネシステムを得意としており、新しい合弁会社は三菱重工業がこれまで行ってきた発電機器の販売に加え、そういったコージェネレーションシステムも含めたソリューションの提供も手掛ける模様だ。
この協業での売上高は、14年度は約70億円を見込んでおり、18年度にはそれを200億円にまで引き上げる予定だ。(編集担当:滝川幸平)