ラスト1mをつなげる、Bluetooth Low Energyの可能性

2014年01月26日 21:26

ローム ①

需要が高まる近距離無線通信の中でも、ウェアラブル端末との相性が良いBluetooth Low Energyの注目度が高まっている。

 スマートフォンやウェアラブル端末の普及に連れて、近距離無線通信技術の需要が高まっている。とくに関心がなくても、パソコンやスマートフォンなどを使っているだけで、Wi-FiやBluetooth、プラチナバンド(特定小電力無線・Sub-GHz)などという言葉を頻繁に耳にする。それだけ、近距離無線通信技術が我々の生活に欠かせないものになりつつあるという証拠だろう。

 近距離無線通信技術と一口にいっても、その規格は様々だ。Wi-FiやBluetoothをはじめ、センサネットワークに使われることの多いZigbeeや、家庭内ネットワーク向けのZ-wave、北米の市場を中心にフィットネスやスポーツ用途に使われているANT/ANT+など、聞き慣れないものも多い。これらの規格には、それぞれ得意とする分野や接続形式があり、用途や使用環境に合わせて最適なものが使い分けられている。

 その中でも、今もっとも注目されている規格にBluetooth Low Energyがある。Bluetooth Low Energyはその名の通り、Bluetoothの省電力版だ。回路を簡単にしたことと、少しのデータしか伝送しないこと、そして必要のないときにはマスタの呼びかけに応えない、Slave Latencyという機能によって省電力を可能にしている。

 具体的には、昨年あたりから注目を集めているウェアラブル端末と、スマートフォンやタブレットを繋ぐ通信技術としての用途が挙げられる。13年7月にはAndroid4.3に、続いて9月にはiOS7に搭載されたことにより、繋がる端末が増えたということだけでなく、可能性も大きく広がり、Wi-Fiと連携してラスト1mをつなげる無線技術として、今後の成長が期待されている。

 無線LANモジュールなどを手掛けるロームも、このBluetooth Low Energyには大きな可能性と期待を抱き、積極的に開発に取り組んでいる企業の一つだ。同社では13年10月に幕張メッセで開催されたIT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2013」でも、Bluetooth Low Energyを搭載したデモ機として、直径38ミリのセンサを身体に貼ってリアルタイムに体温が測れる「絆創膏型の体温計」や、スマートフォンからRGB256段階のフルカラー調色命令が出せる「LED照明コントロール」などを展示し、ウェアラブル端末用途の可能性についての提案を行っている。また、同社では先般もメディア向けに最先端の無線技術と特長についてのセミナーを開催するなど、近距離無線通信技術の普及と認知活動にも力を注いでいる。

 同社のデモ機を見ると、来るべきユビキタス社会において、Bluetooth Low Energyをはじめとする近距離無線通信技術が、個人のライフスタイルはもとより、社会全体の仕組みを変える大きな可能性があることを実感する。(編集担当:藤原伊織)