高島屋、11年ぶりのトップ交代で若返りを図る

2014年01月27日 07:10

 23日、高島屋<8233>は2月1日付で木本茂常務が社長に昇格するとの人事を発表し、これにより鈴木弘治社長は代表権のある会長に就任することとなった。2003年より鈴木弘治社長は社長に就任しており、約11年ぶりのトップ交代となった。消費税増税を目前に控えたこの時期に、こうしてトップ交代を行うことで、経営の若返りと意思決定のスピードをアップを図り、増税により予想される余波を乗り切る考えだ。

 同日に行われた会見の席で鈴木社長は、「少子高齢化や4月に行われる消費税増税など、大きな変化が起きている時代。この時期に若い人の発想を経営に反映させたかった」と、今回のトップ交代に至った経緯を説明した。そして新しく社長となる木本茂常務は、「百貨店が持つ商品力や街づくりの機能、オムニチャネルの加速などにより、核となる百貨店事業の力を高めたい」と抱負を語った。

 2月以降は木本茂常務が国内百貨店事業を担当し、鈴木弘治社長は海外事業を含めたグループ全体の統治を行う予定だ。鈴木弘治社長は「経営というものは10年単位で見なければならないものだと考えている。そうして中長期で物を考えないと、良い仕事をすることが出来ない」と話し、「木本次期社長にも、10年くらいは社長を務めて欲しい」と木本茂常務に期待を寄せた。

 そして木本茂常務は今後の経営に関して、「百貨店事業の力が業界の中で相対的に弱い部分が、最大の経営課題」と述べ、「従来の百貨店事業の概念を進化させて、街づくりの発想を取り入れた小売り業態を創造していきたい」とコメントした。

 2月1日に組織改正を行い、18店舗に延べ180人のバイヤーを配置するとのこと。地域それぞれの消費者ニーズを吸い上げ、品揃えの強化につなげる。

 競合激化に伴い、高島屋は去年12月に新宿店(東京都渋谷区)の土地建物に関して1050億円で追加取得を決定するなど、コスト削減やテナント賃料増加に伴う収益の改善を実施している。また海外事業でも、今後ベトナムへの出店が控えており、これまで以上にきめ細やかな経営手腕が必要となることが予想される。(編集担当:滝川幸平)