現在、百貨店に追い風が吹きつつある。2012年は百貨店売上高が16年ぶりにプラスとなったが、2013年も売上高が2012年を上回った。 日本百貨店協会の発表によると、百貨店の売上げの前年同月比は、1月+0.2%、2月+0.3%、3月+3.9%、4月-0.5%、5月+2.6%、6月+7.2%、7月-2.5%、8月+2.7%、9月+2.8%、10月-0.6%、11月2.4%(執筆時、12月の売上げは未発表)。
現在の百貨店業界は、大丸と松坂屋のJフロントリテイリング<3086>、三越伊勢丹ホールディングス<3099>、セブン&アイ・ホールディングス (西武・そごう)<3382>、高島屋 <8233>、阪急と阪神の西日本連合のエイチ・ツー・オー リテイリング <8242>の5グループに分かれている。2013年は、そのすべての企業で増収となった。
百貨店の高額商品の代表格「貴金属・宝飾・美術」をはじめ、「衣料品」「食品」などの売上げが改善傾向に向かい、収益が改善した。
だがしかし、百貨店を取り巻く環境は順風満帆ではない。総合スーパー(GMS)やショッピングセンター(SC)の台頭は、百貨店の売上げを脅かす急先鋒だ。
生き残りをかけた大手百貨店の戦略は大きく二つに分けることができる。ひとつは、三越伊勢丹や阪急阪神に見られる、豊富な品揃えかつ高い接客品質を行う百貨店の王道路線。もう一つは、若い女性客に人気のブランドなどを誘致し、来店客を増やす路線だ。Jフロントは2012年にパルコを子会社化し、商業デベロッパー化の傾向がある。果たしてどちらの戦略が功を奏すのか。
高額品はGMS、SCよりも「百貨店」で買いたいという消費者は圧倒的に多い。未だ百貨店のブランド力は健在だ。百貨店の再編はひとまず落ち着いた感がある。今後、大手5社の経営戦略をどう展開していくのか、実に興味深い。(編集担当:久保友宏)