今週、1月第5週(1月27~31日)は5日間の取引。27日はオーストラリアが「オーストラリアデー(建国記念日)」、ニュージーランドが「オークランド・アニバーサリー」で休場する。30日は韓国と台湾とマレーシアが旧正月の前日(除夕)で休場。31日は旧暦1月1日の「旧正月(春節)」で、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピンが休場になる。
31日から2月6日まで中国は恒例の春節休暇になる。ただし香港では2月3日まで。旧正月の前日(除夕)は例年なら休みになるが、今年はなぜか30日は休場にならなかった。昨年12月にこの日程を中国政府が決めた時には中国人の間で不満が渦巻き、職場によっては26日の日曜日に出勤すれば30日は休んでいいという措置がとられた。30日は帰省等のために有給休暇をとる人も多くなり、上海市場や香港市場は開店休業のような閑散とした状態になることが予想される。
国内の経済指標は31日の取引時間前に集中する。27日は12月の貿易収支、28日は12月の企業向けサービス価格指数、30日は12月の商業販売統計、31日は12月の家計調査、失業率、有効求人倍率、全国消費者物価指数、鉱工業生産指数、住宅着工件数が、それぞれ発表される。27日には12月19・20日に開かれた日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表される。28日には新指数「JPX日経400」連動型のETFが2本、東証に上場する。
主要企業の決算は、3月期決算の大手企業の4~12月決算の発表が相次ぐ。27日はJSR<4185>、カゴメ<2811>、モーニングスター<4765>、マックス<6454>、日立国際電気<6756>、日立ハイテクノロジー<8036>、ニフティ<3828>、日立化成<4217>、タカラレーベン<8897>、信越ポリマー<7970>、KOA<6999>、岩井コスモHD<8707>、28日は信越化学<4063>、日立建機<6305>、大阪ガス<9542>、OBC<4733>、オービック<4684>、小林製薬<4967>、SMK<6798>、アドバンテスト<6857>、日立メディコ<6910>、日本車輌製造<7102>、幸楽苑<7554>、トーメンエレクトロニクス<7558>、沖縄セルラー電話<9436>、日本アビオニクス<6946>、キヤノン電子<7739>が決算を発表する。
29日は日清製粉G<2002>、コロプラ<3668>、ヤフー<4689>、バリューコマース<2491>、ベリサーブ<3724>、日立金属<5486>、コマツ<6301>、日本電気硝子<5214>、芝浦メカトロニクス<6590>、東光高岳HD<6617>、スタンレー電気<6923>、京セラ<6971>、キヤノン<7751>、任天堂<7974>、三井住友FG<8316>、静岡銀行<8355>、日立キャピタル<8586>、松井証券<8628>、JR東海<9022>、ヤマトHD<9064>、ミスミG<9962>、日本トリム<6788>、パナホーム<1924>、ハウス食品G<2810>、FDK<6955>、コメリ<8218>、平和不動産<8803>、新生銀行<8303>、ブルボン<2208>、スタンレー電気<>、横河ブリッジHD<5911>、ソフトバンクテクノロジー<4726>。
30日はカルビー<2229>、ブルドックソース<2804>、JT<2914>、宝HD<2531>、一休<2450>、積水化学<4204>、NRI<4307>、インフォコム<4348>、中外製薬<4519>、鳥居薬品<4551>、大正製薬HD<4581>、オリエンタルランド<4661>、富士フイルムHD<4901>、コニカミノルタ<4902>、新日鉄住金<5401>、大同特殊鋼<5471>、日本軽金属HD<5703>、リョービ<5851>、東芝<6502>、富士電機<6504>、オムロン<6645>、NEC<6701>、富士通<6702>、カシオ計算機<6952>、フォスター電機<6794>、新光電気工業<6967>、佐世保重工<7007>、川崎重工<7012>、日野自動車<7205>、ダイハツ工業<7262>、小糸製作所<7276>、東京エレクトロン<8035>、オリエントコーポレーション<8585>、オリックス<8591>、野村HD<8604>、JR西日本<9021>、KDDI<9433>、江崎グリコ<2206>、サイバーエージェント<4751>、タカラバイオ<4974>、アンリツ<6754>、スカイマーク<9204>。
31日は大東建託<1878>、住友林業<1911>、ヤクルト本社<2267>、日本ハム<2282>、アドウェイズ<2489>、JPHD<2749>、味の素<2802>、東洋水産<2875>、日清食品HD<2897>、スタートトゥディ<3092>、三越伊勢丹HD<3099>、野村不動産HD<3231>、ワコールHD<3591>、住友化学<4005>、トクヤマ<4043>、大日本住友製薬<4506>、第一三共<4568>、資生堂<4911>、日本板硝子<5202>、TOTO<5332>、日本ガイシ<5333>、日本特殊陶業<5334>、JFEHD<5411>、オークマ<6103 >、牧野フライス製作所<6135>、ナブテスコ<6268>、住友重機械工業<6302>、日本精工<6471>、NTN<6472>、明電舎<6508>、マキタ<6586>、セイコーエプソン<6724>、TDK<6762>、アルプス電気<6770>、ヒロセ電機<6806>、キーエンス<6861>、ファナック<6954>、村田製作所<6981>、日東電工<6988>、新明和工業<7224>、ホンダ<7267>、HOYA<7741>、リコー<7752>、日本ユニシス<8056>、ユニ・チャーム<8113>、H2Oリテイリング<8242>、りそなHD<8308>、みずほFG<8411>、アコム<8572>、大和証券G<8601>、JPX<8697>、JR東日本<9020>、日本通運<9062>、日本郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>、JAL<9201>、ANAHD<9202>、三菱倉庫<9301>、NTTドコモ<9437>、東京電力<9501>、中部電力<9502>、関西電力<9503>、中国電力<9504>、九州電力<9508>、Jパワー<9513>、東京ガス<9531>。
海外の経済指標は、27日はドイツの1月のIFO景況感指数、アメリカの12月の新築住宅販売件数、1月のダラス連銀製造業活動指数、28日は中国の12月の工業利益、英国の10~12月期の国内総生産(GDP)、アメリカの12月の耐久財受注額、11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、1月の消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、29日はユーロ圏の12月のマネーサプライM3、30日は中国の1月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、ドイツの1月の失業率、消費者物価指数(CPI)、ユーロ圏の1月の消費者信頼感指数確報値、アメリカの10~12月期の国内総生産(GDP)、12月の中古住宅販売仮契約、31日はアメリカの12月の個人所得、個人支出、1月のシカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数改定値、2月1日は中国の1月の物流購入連合会の製造業購買担当者景気指数(PMI)が、それぞれ発表される。
27日にユーロ圏財務相会合が開かれ、28日はインド準備銀行の金融政策決定会合がある。28~29日は今週最大のイベント、アメリカの連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。31日に任期満了で退任するバーナンキ議長にとっては最後のFOMCになる。29日に結果が発表されるが、量的緩和政策の縮小幅がどう変わるかに注目。28日にはアメリカのオバマ大統領が連邦議会で一般教書演説を行う。2月1日にイエレン氏がFRB議長に就任する。
アメリカ主要企業の決算は、27日はキャタピラー、アップル、28日はデュポン、ファイザー、コーニング、フォード、D.R.ホートン、AT&T、ニューコア、ヤフー、29日はボーイング、ダウ・ケミカル、クアルコム、フェイスブック、30日はUPS、VISA、アンダーアーマー、グーグル、スリーエム、アマゾンドットコム、シェブロン、31日はマスターカードが、それぞれ発表する予定。
1月23日に始まった「世界同時リスクオフ」は、ダボス会議で安倍首相が法人減税を国際的な公約としたことで少々浮かれ気味だった東京市場に氷水をぶっかけた。発端はその日の午前中の中国PMIの悪化だったが、アルゼンチン政府が自国通貨安を容認してペソが暴落すると通貨不安が南アフリカ・ランド、トルコ・リラ、インド・ルピーなどにも波及。さらに、22日にオーストラリアの消費者物価指数(CPI)の伸びを好感して急騰したばかりの豪ドルが24日、同国中央銀行のリドアウト理事の発言で急落すると日経平均は見るも無残に下落し、一時は15300円を割り込んで大納会の12月30日の昨年来高値16320円より1000円以上も安くなった。その後も為替市場でドル売り、ユーロ売り、円買いが進行し、株安が世界を一周して24日のNYダウが318ドル安を喫するなど、リスクオフがおさまらない。
世界の六大陸が全て関与するその規模の大きさに比べたら、22日の昼休みに日銀の金融政策決定会合の結果が出た直後にみられたような「イベントドリブンで日経平均先物売りを仕掛けて利食い」ごときは、兜町の中だけで完結するコップの中の嵐のようなもの。もし今週、各国の金融当局が対応を誤ったり、後手に回ったりすると、「2014.1.23」は世界経済にとって忌まわしい日付の一つになってしまうかもしれない。
だからこそ今週28~29日のFOMC(連邦公開市場委員会)はアメリカだけでなく世界経済の今後の運命を変えてしまうほどの重大イベントになる。31日限りで退任するバーナンキFRB議長には最後の最後で厳しい難題がふりかかった。「晩節を汚したベン・バーナンキ」として長く記憶される不名誉を避ける道は、量的緩和策の縮小を一時棚上げにするなど緩和継続のアクションを起こすことしかない。口で言うだけでは不十分だ。それを、「もう始まったことだから」と緩和縮小を「かくすれば、かくなるものと、知りながら」強行されたら、マーケットの世界同時リスクオフはさらにひどくなる。経済指標が良いアメリカ経済への直接的な悪影響は小さいように見えても、たった今、動揺を見せている新興国の経済が緩和マネーの引き揚げで大きな打撃を被ると、それはたちまち日本も含めた先進国の経済にはね返り、世界同時大不況になってしまいかねないからだ。
ところで、前週末の混乱の中でなぜか比較的落ち着いていた指標があった。それは投資家心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)の「恐怖指数(VIX指数)」で、24日は18.14で22日の12.84と比べると41%上昇したが、リーマンショック直後の89.53、ギリシャ危機時の45.79、2011年8月の米国債の格下げ時の48.00などと比べると、はるかに低い水準のままである。
これをもって、世界同時リスクオフはうわべだけで「虚実皮膜の間を読め」と言う人がいるかもしれないが、むしろ、バーナンキ議長も「君子は豹変す」(『易経』)の本来の意味をちゃんと心得ていて、FOMCで「やむにやまれぬ、ヤンキー魂」で突っ走るようなことはあるまいと信頼されていると解釈したい。『孫子』には「迂を以て直と為し、患いを以て利と為せ」(軍争篇)、「兵に常勢なく、水に常形なし」(虚実篇)とある。『老子』には「上善、水の如し」という言葉もある。それを号とした黒田官兵衛のような名軍師ではなくても、状況に臨機応変に対応せず、深慮遠謀もなくただ「私はブレない」と豪語する大将が国を滅ぼしてしまうことは、誰でもわかるはず。低いVIX指数には、退任直前のバーナンキ議長がブレることへの投資家の期待が込められていると思いたい。(編集担当:寺尾淳)