スズキ、インドにて全額出資の子会社を設立

2014年02月02日 14:08

 28日、スズキ<7269>は全額出資する四輪車生産子会社を設立し、インドのグジャラート州で計画していた新しい工場を運営すると発表。インドはスズキがシェアトップの主力市場であり、これまでスズキは約56%を出資する子会社のマルチ・スズキを介して、2工場の運営を行ってきた。激化する競争に打ち勝つために、今回の新しい工場では経営関与を強め、状況の変化に迅速に対応できるようにする狙いがあるようだ。

 工場は約500億円を投じて建設され、生産開始は2017年中を予定している。生産能力は開始当初には10万台を予定しており、それを段階的に増加させていくとのこと。新会社は4月に設立予定で、「スズキ・モーター・グジャラート」という名称になる。

 スズキの子会社であるマルチ・スズキは、12年にグジャラート州に新しい工場を建設すると発表していたが、市場の状況が変化し、その投資負担は重くなっていた。今回の発表では、設備投資費用に関してはスズキが負担し、マルチ・スズキは国内外での販売に注力するとのこと。

 こうして全額出資による子会社で工場を運営することで、設備投資の負担を請け負う一方、開発や生産技術については日本とインドを一体化させる。28日にインドにて行われた記者会見で鈴木修会長兼社長は、「日本の得意な生産技術を、スズキから持ち込みたい」とコメントした。

 生産された車はマルチ・スズキを介して販売される。ヨーロッパや中東、そしてアフリカへの輸出拠点としても考えられている。鈴木修会長兼社長は、「これからはインドでの販売は激化すると予想される。なので、マルチ・スズキの投資はディーラー網整備など販売強化に注力させたい」と話している。

 マルチ・スズキは、インドにてマネサール工場、グルガオン工場の2つの工場を持つ。それらの工場の現在の年間生産能力は合計で150万台。軽自動車を基本とした低価格帯の小型車などを主力に、乗用車で4割近いシェアを占めている。

 しかし12年7月には、マネサール工場にて従業員による暴動が起こり、一時操業停止に追い込まれた。こうした暴動が起こった原因には、従業員の把握が充分に行えていなかったという背景があることから、工場の運営に親会社であるスズキが深く関与することで、生産体制の整備や人事管理の面で日本との連携を密にしたい考えがあるようだ。(編集担当:滝川幸平)