4日、米マイクロソフト(MS)はスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)の後任として、法人部門を統括するサトヤ・ナデラ副社長を新しい最高責任者とする人事を発表した。サトヤ・ナデラ氏は4日付で就任し、米マイクロソフトで3人目のCEOとなる。また同時に、ビル・ゲイツ会長の後任として、ジョン・トンプソン首席社外取締役が就任することも明らかなった。ビル・ゲイツ氏は新しく「テクノロジー・アドバイザー」のポストに就く。
サトヤ・ナデラ氏はインド生まれで、米サン・マイクロシステムズを経て1992年に米マイクロソフトに入社。主に法人向けの事業を担当し、インターネットを介してソフトやサービスなどを提供するクラウド事業の立ち上げなどを行った。
米マイクロソフトはパソコン向け基本ソフト(OS)の「ウィンドウズ」により、IT業界にその名を轟かせたが、しかし2000年代の後半になると、スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末の台頭により、かつての勢いに陰りが見えるようになって来た。そのため主力事業をソフトからハード機器とサービスに移し替えることで再起を図っており、そうした革新を推し進めるためにスティーブ・バルマー前CEOは去年の8月に1年以内の退任を発表。それを受けて、ジョン・トンプソン社外取締役(セキュリティーソフト大手シマンテック元CEO)らによる後任選びが進められていた。
後任の人選には、米自動車大手フォード・モーターのアラン・ムラーリーCEOや、ノキアの前CEOスティーブン・エロップ氏などの名前も挙がっていたが、最終的に事業をスムーズに継続させるという観点から、サトヤ・ナデラ氏の内部昇格が決定した。
ビル・ゲイツ氏は08年に経営の第一線から退いていたが、今回「テクノロジー・アドバイザー」のポストに就いたことで、これまで以上に会社のために時間を使いたいという意欲を見せているという。
米マイクロソフトは、ハーバード大学に在学中であった19歳のビル・ゲイツ氏が、75年に設立したソフト会社。米IBMが81年にマイクロソフトの基本ソフトを採用したことにより一気にその名が知られるようになり、85年に発表した基本ソフト「ウィンドウズ」でもってその業績を拡大させた。(編集担当:滝川幸平)