年金支給額、4月分から0.7%引き下げに

2014年02月09日 09:48

 先月31日、厚生労働省は2014年度の年金支給額を0.7%引き下げると発表。国民年金、厚生年金を受給しているすべての人が対象となり、4月分(支払いは6月)から実施される。現在の支給金額が本来の水準よりも高いため、政府としては1%の減額を予定していたが、13年の物価や賃金の変動を鑑みた結果引き下げ幅を圧縮した模様。また、同じく14年の4月から国民年金の保険料が引き上げられる。

 年金支給額は賃金や物価の変動に応じて毎年決められる。現在の支給額は、00~02年度に物価が下落したが特例措置により据え置かれたため、去年10月分から1%の引き下げを実施したものの本来の水準よりもまだ1.5%高い。そのため段階的に引き下げられることが決定していた。しかし31日に総務省が発表した13年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む)は前年比で0.4%プラス、その一方厚労省が計算した近年の賃金の伸びが0.3%だったことを鑑みて、14年4月より支給額を1%引き下げると予定していたが、その減額幅を0.3%縮めて0.7%引き下げるとした。

 これにより、国民年金を満額で受給している人は、13年度と比較すると月額で475円引き下げられ6万4400円となる。また厚生年金では、夫婦2人の標準的な世帯の受給額は13年度と比較して1666円引き下げられ22万6925円となる。

 そして04年度の制度改正により、国民年金も厚生年金も17年度まで毎年引き上げられることが決定している。14年度の国民年金の保険料は4月から今の1万5040円より210円上がって、1万5250円となる。そして会社員が加入する厚生年金の保険料率は毎年0.354%引き上げられており、現在17.12%(労使折半で負担)だが、今年9月分から17.474%となる。

 さらに厚生労働省は4月から2年間の年金保険料が前払い出来る制度を導入するため、15年度の保険料も発表。それによると、15年度は14年度よりさらに月340円引き上げられ1万5590円となる。

 こうした保険料引き上げの背景には、少子高齢化により年金財政が厳しくなりつつあるといった現状がある。年金受給者が増えるその一方で、それを支える年代の数が減少し続けている。受給者側、それを支払う側、双方にとって「痛み」の伴う状況はまだまだ続きそうだ。(編集担当:滝川幸平)