先月29日、検索大手の米Google(グーグル)は中国の大手パソコンメーカーレノボ・グループ(連想集団)に、携帯電話端末部門のモトローラ・モビリティを29億1000万ドルで売却することで合意したと発表。こうしたハイテク分野における中国企業の買収では、過去最大規模のものとなる。レノボ・グループは先週にも、米IBMの低下価格帯サーバー事業を23億ドルで買収すると発表したばかりだった。
Googleがモトローラを125億円で買収したのは、2012年5月のこと。Googleが携帯端末の製造に初めて参入したということもあって、大きな話題となった。しかしその後モトローラの業績不振により赤字が続き、株主や投資家の間で不満が高まっていた。Googleはモバイル基本ソフト(OS)の「Android(アンドロイド)」を巡って米アップルやマイクロソフトから提訴されており、モトローラを買収することで、それらの特許を活用し訴訟を有利に進めようという狙いがあった。モトローラの保有する特許のほとんどはGoogleが引き続き保有し、レノボにライセンス供与する見通しだ。
レノボはこうしてモトローラを買収することで、競争が激化するアメリカの携帯電話市場に参入し、米アップルなどと競合することとなる。
レノボ・グループの楊元慶最高経営責任者(CEO)は声明にて、「レノボはスマートフォン事業において強い競争力を手にすることが出来る」と今回の買収に関して期待感をあらわにした。23日には米IBMの低価格帯サーバー事業の買収を発表するなど、その拡大戦略は加速する一方だ。
またGoogleのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)は、今回のモトローラ売却に関して、スマートフォンユーザーのために、アンドロイド全般のイノベーション促進にエネルギーを注ぐことが出来るようになるとの考えを示している。
レノボは世界のスマートフォン市場において急速にそのシェアを伸長させ、サムスン電子やアップルなどに続く第4位に成長。今回の買収によってその競争力を一段と強化させたい狙いがあるようだ。(編集担当:滝川幸平)