前週末7日のNYダウは165ドル高。注目の1月の雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比11.3万人増で12月の7.5万人増は上回ったが、市場予測の17~18.5万人には遠く及ばなかった。もっとも失業率のほうは12月から0.1ポイント低下して6.6%になり、2008年10月以来5年3カ月ぶりの低水準。雇用者数の伸びが非製造業に偏らず製造業や建設業も堅調だった中身も評価された。NYダウは午前中は一時マイナスになり為替市場ではドルが売られたが「2ヵ月連続ネガティブサプライズ」というほどではなく、株価も為替もそれを消化して乗り越え午後はジリ高して終えた。10日朝方の為替レートはドル円が102円台後半、ユーロ円が139円台後半で、前週末よりも円安が進行していた。
9日投開票の東京都知事選挙は舛添要一・元厚生労働大臣が当選し、脱原発を主張する候補は落選した。日米の2つのイベントを通過して外部環境が好転し、日経平均は185.42円高の14647.83円と14600円台に乗せて始まる。TOPIXは2ケタ高で1200の大台にタッチ。午前10時30分前後に上海総合指数が小幅反発スタートにもかかわらず14600円を割り込む時間帯があったが一時的で、日経平均は前場はおおむね14600円台前半で推移。しかしTOPIXは10時台から1200の大台に戻れず、日経平均前引は14626円だった。
後場も前場に続き14600円台前半の値動きが続いたが、午後1時30分頃から14600円台後半に切り上がりTOPIXは1200を突破。2時発表の1月の消費者態度指数は0.8ポイント低下し40.5で、内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。大引けを前に上げ幅を拡大し日経平均は14700円を突破。終値は255.93円高の14718.34円と大幅続伸し、今年、5連敗していた週明けの初白星。日中値幅は157円だった。TOPIXは+15.14の1204.28で1200台を回復。売買高は21億株、売買代金は2兆1227億円で、連休の谷間のせいか商いはやや低調だった。
東証1部全体の値上がり銘柄は8割に迫る1410、値下がり銘柄は304。33業種別騰落率は31対2で値上がり業種優勢だった。プラス上位はその他製品、空運、情報・通信、サービス、精密機器、食料品など。プラス下位はガラス・土石、銀行、非鉄金属、繊維など。マイナス業種は保険と電気・ガスだった。
日経平均採用225種は値上がり179銘柄、値下がり32銘柄。プラス寄与度1位はソフトバンク<9984>で+49円、2位はファーストリテイリング<9983>で+42円。マイナス寄与度1位はKDDI<9433>で-10円、2位は4~12月期決算の純利益が15.3%減だったため77円安で値下がり率15位の横河電機<6841>で-3円だった。
メガバンクは三井住友FG<8316>が15円安でみずほ<8411>は1円高、三菱UFJ<8306>は2円高どまりで低調。野村HD<8604>は8円高だった。1月の中国の新車販売台数でトヨタ<7203>、マツダ<7261>は2ケタ増で、トヨタは94円高で株価6000円にあと6円に迫り、マツダは10円高だった。ホンダ<7267>は設計技術者800人を投入して東南アジア、インドで現地専用車を開発するという話題があったが32円高どまり。いすゞ自動車<7202>は4日続伸の29円高で4.76%も上昇した。
ソニー<6758>は11円高で4日続伸。NEC<6701>は3円高、富士通<6702>は8円高、シャープ<6753>は9円高。提携店を4割増やし住宅リフォーム事業を増強するパナソニック<6752>は14円高で3日ぶりに反発したが、OKI<6703>は7円安と反落した。日本電産<6594>は510円高で昨年来高値更新と相変わらず好調。グループ企業所属のスケート選手がソチ五輪に出場しているので「応援買い」も入ったか。
NTT<9432>は、東西NTTの固定電話とNTTドコモ<9437>の携帯電話のセット割引の解禁を総務省が検討開始と日経新聞で報じられ70円高で4日続伸。KDDIとソフトバンクにはすでにある割引だが、NTTは「市場独占につながる」と認められなかった。NTTドコモがiPhoneで出遅れシェア約4割まで侵食された「ケガの功名」か?
堀場製作所<6856>は前場にアメリカのフォトンテクノロジー社の買収を発表し35円高。「蛍光分光分析」技術を持つ会社で、それを使いアルツハイマー症候群の特効薬を開発するという。医薬品ではジェネリックの沢井製薬<4555>が、4~12月期の経常利益19%増益がSMBC日興証券とJPモルガンの目標株価引き下げに打ち勝ち740円高で値上がり率4位。後発医薬品に冷たい薬価制度改革は経営努力で乗り越えるしかない。