野村総合研究所が7日に発表した「全国の駅周辺1km商圏の地域特性分析」結果によると、2013年から2030年にかけて居住者の金融資産が最も大きく伸びると予想されるのは「京葉線・日比谷線の八丁堀駅」。次いで「都営新宿線の浜町駅」「山手・京浜東北線の田町駅」が続いた。潜在的な住宅リフォームニーズが最も高いのは「東急目黒線の武蔵小山駅」だった。
調査は総務省の国勢調査をはじめとする公表データに加え、野村総研が独自に推計したデータベースを用いて実施したもの。
13年から30年にかけて周辺1km商圏(半径1kmの円内)に居住する人の金融資産(預貯金の総額)が大きく伸びると期待される駅は、「京葉線・日比谷線の八丁堀駅」で1554億円(26%)の金融資産増加が予想される。金融資産が大きく伸びる駅の特徴として、「現在の世帯あたり金融資産が大きい」「駅周辺1km圏の世帯数が多く、また今後も増える」「30代から40代の年齢層が多い(これから資産形成が進む)」という3点が共通していた。
八丁堀駅以外にも「都営新宿線の浜町駅(2位)」「山手・京浜東北線の田町駅(3位)」「有楽町線の豊洲駅(4位)」「半蔵門線の水天宮駅(5位)」のように、東京臨海部や東京駅の東側エリアに位置する駅が多くみられた。
また野村総研では地域別の潜在的な住宅リフォーム需要件数に比例する、独自指標「リフォームニーズ指数」を新たに開発した。その集計結果によると、周辺1km商圏でリフォームの潜在ニーズが最も強い駅は「東急目黒線の武蔵小山駅」だった。上位には「都営浅草線の戸越駅(2位)」「JR中央線・都営大江戸線の東中野駅(3位)」など、東京西部エリアの「成熟した都市」に位置する駅が多くみられた。
分析結果から、金融資産(預貯金)が大きく伸びる「東京臨海部を含む東京東部エリア」は、東京オリンピックの開催地域とも重なることから、魅力が相対的に高まっていくことが予想されるとしている。住宅リフォームニーズが強いエリアという指標からは「成熟した東京西部エリア」という側面がうかがえるともする。
様々な問題をいち早く先取りし、具体的な解決策を提示してきた野村総研。今回の調査では「リフォームニーズ指数」という独自指標を新たに開発したことが興味深い。さらに「金融版居住者特性エリアタイプ」として30項目からなるエリアタイプも作成しており、分析結果は地域開発や民間企業のマーケティング政策に有益なデータとなるだろう。(編集担当:横井楓)