キヤノン、取得上限500億円の自社株買いを発表

2014年02月22日 11:08

EN0202_085

キヤノンは金庫株以外の発行済み株式総数のうち、1.6%にあたる1800万株・500億円を取得上限とし、自社株買いを行うと発表した

 18日、キヤノン<7751>は金庫株以外の発行済み株式総数のうち、1.6%にあたる1800万株・500億円を取得上限とし、自社株買いを行うと発表した。取得期間は2月19日から4月4日まで。

 こうしたキヤノンによる自社株買いは2014年12月期に入って初めてで、また13年9月以来通算15回目となる。手元資金が約8000億円と潤沢であることから、これまでも資本効率向上のために積極的に自社株買いを行ってきた。またこうした自社株買いを行う背景には、配当利回りなどを鑑みた時に足元の株価が割安という判断もあるようだ。

 キヤノンは07年に初めて自社株買いを行って以来、所得株の消却は行っておらず、また当面は消却しない方針だ。今回の自社株買いを取得上限まで行えば、保有する株は2億1476万株程度になる見通しで、時価6600億円を超える。

 昨年の9月に行った自社株買いの際には、取得上限である500億円を2週間という短い期間で買い付けた経緯があり、その時の株価の推移も堅調であったことから、株式市場では今回の自社株買いに関しても需要インパクトを期待する声がある。

 こうして自社株買いに動く上場企業はキヤノンだけでなく、三井物産<8031>やコニカミノルタ<4902>なども実施している。企業の手元資金は過去最高の水準にあり、株主分配や資本効率を重視する傾向から、こうした自社株買いの動きが広がっている模様。また自社株買いの動きは株式市場でも好感触に受け止められており、そうした自社株買いが発表された次の日には、株価が上昇するケースが目立っている。

 今回自社株買いを発表したキヤノンは取得した株に関して、大規模な企業買収などが発生した時、株価交換などで買収原資として活用するとしている。また三井物産は今期で投資が一巡することから、稼いだ資金を株主配分の強化にあてる考えで、1株あたりの利益の希薄化というリスクを避けるため、取得した株は消却する方針を示している。

 自社株買いは需要面において株価を下支えするという効果も期待でき、発表の次の日には株価が上昇するケースが多い。それ以外にも自己資本利率(ROE)を高める効果も期待できるため、中長期的なスタンスをとる欧米の投資家からも歓迎される傾向にあるようだ。(編集担当:滝川幸平)