今月12日に初登庁でスタートした舛添都政。都知事選では最も無難な候補が当選したといわれた。原発について昨年12月の時点では「もんじゅは素晴らしい技術だから、これかも推進していくべき」と発言していたはずが、都知事選に名乗り出た際の会見では「原発か反原発で知事を選ぶのは違和感がある」としながらも、「私も脱原発を言い続けている」と発言。原発は推進すべきとした田母神候補よりは細川候補に近い自らの立ち位置を印象づけた。
すべての論点で曖昧な印象を残した舛添氏だったが、そこが都民には最も無難な候補として映ったのかもしれない。日本人は「松竹梅」のメニューがあれば、ほとんどのひとが「竹」を選ぶという国民性。選択しなければならない局面では最も無難なものを選ぶといわれる日本人の志向にぴたりと合致した候補者だったのかもしれない。
しかし、舛添都知事のこれまでのキャリアを振り返れば、ずっと安定したものでもなければ無難な政治家だったわけでもなかったことがわかる。2009年の自民党大惨敗の後には党執行部を痛烈に批判した。翌年のインタビューでは「自民党の歴史的役割は終わっているし、もう二度と戻ってこない」と発言。党内では中年オオカミと呼ばれ、追われるようにして自民党を離党している。
今月14日の定例記者会見では早速自民党の憲法改正草案に持論を展開、「立憲主義の観点から問題がある。今のままの草案だったら、私は国民投票で反対する」と辛口のコメント。どこにも無難な姿勢は見られない。
舛添都知事は女性問題でも有名。過去にはかつての妻である片山さつき氏から浮気や家庭内暴力を暴露されたこともある。「女は生理のときはノーマルじゃない。異常です。そんなときに国政の重要な決定、戦争をやるかどうかなんてことを判断されてはたまらない。」など、数々の女性蔑視発言も取沙汰されている。
実際、初登庁日には舛添都知事の女性蔑視発言を問題視する婦人団体に取り囲まれた。同日夕方には別の市民団体が都庁前で反舛添デモを繰り広げた。都知事の暴言と言えば、石原慎太郎元都知事も度々の過激な発言で話題になったが、今回もその伝統を引き継ぐことになるのだろうか。危なげなところはあっても、けして無難なところはない都知事であることを肝に銘じておくべきである。(編集担当:久保田雄城)