先月24日、韓国の大手電子メーカーのサムスン電子はスマートフォン(多機能携帯電話)の新しい製品「Galaxy(ギャラクシー)S5」や腕時計型の情報端末の新商品などを、スペインのバルセロナで開催されていた携帯情報端末見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」にて公開した。
「GalaxyS5」は5.1型の液晶ディスプレイを搭載しており、0.3秒で焦点を合わすことの出来る高速オートフォーカスや、HDR機能などを備えている。また防水防塵仕様となっており、本体の背面にはジョギングなどの運動の際に活用することの出来る脈拍センサーなども搭載されている。
そして腕時計型の情報端末では、これまでの機種の後継機種となる「Gear2」以外に、カメラが内蔵されていない「Gear2Neo」やフィットネスの要素に特化した「GearFit(ギア フィット)」を公開した。この「Gear2」シリーズでは情報端末としては初めて基本ソフト(OS)に「Tizen(タイゼン)」を採用した。「Tizen」の開発を推し進めるサムスン電子などの企業連合は、米グーグルの「Android(アンドロイド)」や米アップルの「iOS」に次ぐ「第三のOS」としての地位確立を目指しており、今回の腕時計型情報端末の「Gear2」シリーズと共に、今後ユーザーを魅了することの出来る商品をさらに打ち出すことが出来るかどうかで、その目標の実現の成否はかかってくるだろう。
またサムスン電子は去年、やはり腕時計型情報端末である「Galaxy Gear(ギャラクシーギア)」の販売を開始しており、その動きにソニー<6758>や華為技術(ファーウェイ)なども追随の動きを見せている。今回のサムスン電子の「Gear2」シリーズの発表により、そうした「身につける情報端末」いわゆる「ウェアラブル端末」の開発競争はさらにその加速度を増しそうだ。
しかしサムスン電子がそうして腕時計型情報端末などのウェアラブル端末の開発に注力する姿勢からは、現在サムスン電子が直面しているある問題が浮き彫りになってくる。スマートフォンの販売ペースが下降傾向にあり、また市場では中国メーカーによる低価格商品の台頭もあって、サムスン電子は収益が脅かされつつある。そうした状況を打破すべく、大きなコストの発生する派手なマーケティングは避け、ユーザーの目を惹くことの出来る新規製品であるウェアラブル端末を開発・販売することで、顧客層を拡大したいという考えがあるようだ。
「GalaxyS5」「Gear2」シリーズ共に、4月以降に世界各国で販売が開始される予定。(編集担当:滝川幸平)