独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)によると、NEDOよりプロジェクトを受託したトヨタ通商株式会社<8015>と、有限会社昭和メタルは、北京市内で非常に効率の良い自動車リサイクルシステムをトータルで作り上げた。この実証プロジェクトは中国国家発展改革委員会との連携により実施された。
本プロジェクトの現地パートナーは北京の自動車解体リサイクル業者であり、昨年末に豊田通商32%、昭和メタル8%の資本参加を実施し、14年2月27日には北京市内で本プロジェクトの成果報告会と同合弁企業の開所式を行った。
中国では経済成長と共に、自動車保有台数がアメリカに次いで2位になった。今後は使用済みの自動車の増加が見込まれており、北京では年間約7.6万台発生している。
現在、中国では手作業の解体作業が主流で自動車のリサイクルシステムが確立されておらず、作業の効率化や処理に伴う環境負荷の低減が求められている。日本の場合は大量処理が可能な自動車シュレッダー技術が主流であり、自動車リサイクル法のもと資源回収やフロン破壊など様々な後工程も整備されているが、中国ではこれらの産業が構築されていないため、技術をそのまま持ち込むことは難しい。
今回、豊田通商と昭和メタルは日本と中国の産業構造の違いを踏まえて、まず解体の前処理である有価物の取り外しや有害物の除去などを機械化し、積載効率や安全作業を達成するプレスや切断機を導入した。さらに、下流の工程に当たる様々な発生物の再資源化技術、例えば配線類からの銅の回収や廃タイヤの原料化なども合わせたトータルシステムを構築した。また、廃液やフロンなどの有害物の回収や処理工程まで統合し、環境負荷低減を徹底した。解体の工程内でフロン類の回収・破壊処理まで行うと約6,590キログラム/台のCO2削減につながるが、自動車解体業でフロン類の破壊工程まで手がけることは、日本でも例がないことである。
今回作り上げた一元化されたシステムで管理することにより、日本のリサイクル率90%以上と環境の負荷の低減を維持しながら年間1万台の処理が可能になった。このプロジェクトの成果を元に、豊田通商は中国での自動車リサイクル解体事業に進出する方針とのこと。さらに中国での自動車市場は活発になりそうだ。(編集担当:高井ゆう子)