ソニー、旧本社ビルを161億円で売却すると発表

2014年03月10日 08:29

 7日、ソニーは<6758>は同社が保有する御殿山テクノロジーセンターのNSビルと4号館(東京都品川区)の土地と建物を、2014年4月中に住友不動産<8830>に売却すると発表した。売却価格は161億円。14年4~6月期に約100億円の売却益を計上する予定。

 売却される御殿山テクノロジーセンターのNSビルは、1990年に竣工された旧本社ビルであり、その後07年まで家電やIT(情報技術)分野を担う中心地でもあった。そこではデバイス事業、メディカル事業、法人事業など合わせて約770人が働いており、数ヶ月のうちに港区港南にある本社ビルなどに引っ越す予定。

 旧本社ビルを含む地域は「御殿山エリア」と呼ばれ、46年に東京の日本橋で東京通信工業として設立後、翌47年に御殿山エリアに移転し、ラジオやテレビ、ウォークマンなどの成功により大企業として発展を遂げてきた。そうしたことから同エリアはソニーの「創業の地」とされ、NSビルは07年に今の本社ビルが稼働されるまでソニーの本社であった。

 しかし国際競争の激化に伴い、07年には同エリアの北側にある大半のビルが売却された。そして今回新たに発表された売却により、そのエリアにてソニーの保有するビルは、歴史資料館や研修所などの4棟のみとなる。

 13年3月期、ソニーはニョーヨーク本社ビル、ソニーシティ大崎ビル、そしてエムスリー<2413>株の一部などを売却し、2000億円以上の資産売却益を計上した。そうした資産売却の動きは今期に入っても続き、13年の9月にはエムスリー株の一部を378億円、12月には保有するスカパーJSATホールディングス<9412>株すべてを152億円で売却した。そして14年の2月には米グレースノートを1億7000万ドル(約176億円)で売却し、「VAIO」ブランドで運営してきたパソコン事業を7月に譲渡することも発表した。

 経営再建を急ぐソニーは、リストラに聖域を設けない姿勢を示しており、今回の御殿山テクノロジーセンターのNSビルと4号館の土地・建物の売却からもそれは伺える。売却は4月中に完了する予定で、その売却益は14年4~6月期に営業利益として計上する方針だ。(編集担当:滝川幸平)