国内のデジタルAV機器市場は2011年の地上デジタル放送移行ののち、デジタルTVの特需終息に伴う需要減に見舞われてきた。しかし、4Kやハイレゾといった新技術がデジタルTVを牽引し、需要拡大の突破口となりそうだ。富士キメラ総研は、デジタルAV関連機器を対象に各品目の国内および世界の市場動向や製品化のトレンド、今後の方向性などを調査、報告書「デジタルAV機器市場マーケティング調査要覧(2014年版)」をまとめた。
それによると、13年までは地上デジタル放送移行後の需要低迷で国内のデジタルTV市場は縮小したが、14年以降、買い替え需要が徐々に拡大し、17年には13年比61.4%増の920万台が予測されるとした。
市場をけん引するのは4K-TVであり、12年後半にソニー、東芝、2013年にはシャープ、パナソニックが本格参入したことで、13年は3万台となった。製品価格が高いこともあり、爆発的な拡大には至っていないものの、14年にも配信型の4Kコンテンツ供給が始まることや、徐々に低価格化が進むことで普及が加速し、17年には200万台を突破すると予測されるという。
日本だけでなく世界でも4K-TVの需要は拡大しており、低価格モデルの普及が急速に進む中国が当面けん引し、欧米でも徐々に低価格化が進むことで拡大し、世界市場は13年の186万台から17年には6620万台になると予測した。
ウェアラブル機器として、ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、スマートグラス、活動量計/歩数計を対象とする。活動量計/歩数計の底堅い需要に加え、14年はスマートウォッチとスマートグラスが主力となり市場をけん引するとした。
スマートウォッチは、スマートデバイスと連携して端末の機能やアプリケーションを遠隔操作できるほか、電話の着信やメールの受信など、端末の発信情報を通知する腕時計および腕時計型多機能端末である。現在の需要は対応するスマートデバイスが少ないこともあり、限定的であるが、新規ユーザーの取り込みや対応端末の増加により、17年には300万台を突破すると予測した。
世界市場では、13年はウェアラブルカメラとスマートウォッチの需要が増加している。特にスマートウォッチに関しては北米や欧州といった先進国以外にも、スマートフォンの普及が進む中国を含むアジア地域での需要の拡大や参入メーカーの増加に伴う活性化が期待できるとした。
「Google Glass」はスマートグラスのプロトタイプ的存在となっているが一般コンシューマー向けの投入はされておらず、一般コンシューマー向けの展開を皮切りに北米や日本などの先進地域を中心に普及すると考えられるという。
国内のホームオーディオ市場はアンプ、システムコンポの低迷もあり縮小したが、14年以降はハイレゾをキーとした需要掘り起しに加え、スマートデバイスとの連携が進むホームシアターシステムがTVの買い替え需要と連動して拡大するほか、PCやスマートデバイスに接続して利用できるアクティブスピーカーの需要拡大から17年には13年比3.7%増の362万台が予測されるとした。
世界市場においても、ホームシアターシステム、アクティブスピーカーがけん引し、拡大が続くとみている。いずれもスマートデバイスとBluetoothとの連携を図った手軽なオーディオとして需要を獲得しているが、金額ベースでは低価格製品の普及で微減が続くと予測した。
このように、4K、ハイレゾなどの高画質・高音質技術をはじめ、スマートグラスなどの新製品が台頭している。これらの新技術が市場を拡大させる。17年には市場全体だけではなく、各部門も大幅に拡大すると予測される結果となった。(編集担当:慶尾六郎)