【日経平均】朝からバッドニュースが相次いで153円安

2014年03月10日 20:16

 前週末7日のNYダウは30ドル高。注目の2月の雇用統計の結果は、失業率は6.7%で前月比で0.1ポイント悪化したが、大寒波の影響で10万人割れもありうると思われた非農業部門雇用者数は前月比17.5万人増で市場予測の15万人増を上回った。1月の増加数も1.6万人上方修正。ポジティブサプライズと言ってもよく、ドルは上昇し株式市場はJPモルガンやゴールドマンサックスなど金融株を中心に買いが先行した。しかしウクライナ情勢を懸念したヨーロッパの株安や週末要因で上値を抑えられマイナスに沈む場面もあり、NASDAQは下落している。10日朝方の為替レートは、ドル円は103円台前半、ユーロ円は143円台前半で、雇用統計発表直後ほどではないが前週末比で円安が進んだ。

 7日のCME先物清算値は15315円だったが、日経平均は76.54円安の15197.53円とマイナスでスタート。取引時間前に国内経済のバッドニュース速報が2件あり。円安要因ではあるが1月の国際収支は貿易収支が2兆3454億円の赤字、経常収支も1兆5890億円の赤字で、昨年1月から1兆2406億円も悪化して単月では過去最大。10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は実質GDPが0.2%増で速報値から0.1ポイント下方修正された。序盤の日経平均は下げ幅を圧縮してもプラスにはタッチできず押し戻される展開。政府税調が法人税率を引き下げる代わりに株式の譲渡益、配当益への課税の強化を検討という報道も東京市場の株価の足を引っ張った。「NISAはタックス・ヘブン、特定・一般口座はタックス・インフェルノ」では「貯蓄から投資へ」の流れに逆行する。

 15200円台に戻れずくすぶっていた日経平均は10時台になると15100円台前半で下値を探る動きになる。10時30分に上海総合指数はマイナスでスタートし香港ハンセン指数も大幅に下落して開始。8日未明に全人代開会中の北京行きのマレーシア航空機が消息を絶ってテロではないかと取り沙汰され、8日に発表された中国の2月の消費者物価指数(CPI)は2.0%増で昨年1月以来の鈍い伸び。2月の卸売物価指数(PPI)は2.0%減で2ヵ月連続の下落幅拡大。さらに2月の貿易統計も春節休暇が入ったとはいえ輸出が18.1%減で貿易収支が230億ドルの赤字と、中国もネガティブなニュースばかりでは致し方なし。ウクライナ情勢はクリミア半島をめぐり欧米とロシアの対立が深まり、日経平均は一時15100円を割って前引は15121円だった。

 後場も状況は変わりなく、午後0時37分に15088円の最安値をつける。1時頃までに15150円をオーバーしてもあっさり下落して波に乗れず、15100円台前半でもみあう。東京商工リサーチ発表の企業倒産数は前年比14.6%減で16ヵ月連続前年割れと良かったが、2時にまたまたバッドニュース速報。2月の景気ウォッチャー調査の現状判断は1月を1.7ポイント下回り53.0で2ヵ月連続の低下。これは50を上回っているからまだましだが、先行判断のほうは1月の49.0から9.0ポイントも低下し40.0という東日本大震災発生直後以来の低さ。「街角」は消費増税後の反動減をきわめて悲観的にみていることが浮き彫りになった。日経平均は15100円台のまま大引けになり、153.93円安の15120.14円で5営業日ぶりに反落。4日続伸後の調整局面や日銀会合待ちの様子見もあるが、アメリカの雇用統計がポジティブサプライズでも、こんなにザクザクとバッドニュースが出てきたら、とてもかなわない。日中値幅は178円。TOPIXは-9.36の1227.61。売買高は18億株、売買代金1兆7523億円と年度末の3月らしからぬ薄商いだった。

 東証1部の値上がり銘柄は約3割の550、値下がり銘柄は約6割の1089。33業種別騰落率でプラスは建設、空運、精密機器、海運の4業種。下落した29業種のうち下げ幅が小さかったのはサービス、食料品など。下げ幅が大きかったのは不動産、石油・石炭、倉庫、非鉄金属、鉄鋼、保険などだった。

 日経平均採用225種の値上がりは43銘柄、値下がりは170銘柄。プラス寄与度1位は電通<4324>で+2円、2位は資生堂<4911>で+1円。3位は29円高で昨年来高値を更新したミネベア<6479>で+1円。マイナス寄与度1位は6日ぶりに反落したファーストリテイリング<9983>で-27円、2位はファナック<6954>で-18円だった。