野村総合研究所<4307>が全業種にわたる599社の大手企業を対象に、企業内IT投資の実態について調査を行った。
同調査によれば、すべての企業は、企業内でITが果たす役割によって4つのタイプに分けて分析することができるという。すなわち今回の調査対象の企業の内訳は、「ITが競争優位につながるコア技術でありかつ基幹設備であると考える企業(コア・基幹)」33.7%、「コア技術であるが基幹設備ではない企業(コア・非基幹)」19.9%、「コア技術ではないが基幹設備である企業(非コア・基幹)」37.9%、「コア技術でも基幹設備でもない企業(非コア・非基幹)」7.5%、とのことである。
上記分類を基に、年間IT費用に占めるRUN(ビジネス維持のための費用)の比率を調べたところ、「コア・基幹」が67.2、「コア・非基幹」が67.9、「非コア・基幹」75.5、「非コア・非基幹」75.8となっていた。「ITが競争優位につながるコア技術」と考える企業ほど、事業創造や変革へのIT活用と、IT分野での新技術活用に積極的であることがわかった。一方、ITを重視しない企業ほど、年間IT費用において維持費用の比率が高くなっていることが伺える。
企業におけるIT費用の適正化手段を尋ねたところ、「IT基盤見直し」67.8%、「業務機能棚卸し」35.6%、「業務アプリケーションパッケージ」34.2%、「アウトソーシング」30.1%「サービスレベル見直し」31.6%、「調達価格見直し」23.4%、「業界共通システムの利用」15.0%、「マルチベンダ化」6.5%「シングルベンダ」1.7%、「その他」2.7%、「ITコストの適正化は行わない」2.2%。企業内IT投資を行う一方で、同時に「あの手この手」で常にそのコストの最適化を図ろうとする企業の姿が浮き彫りとなっている。
いまや、IT部門に費用を割かない企業は存在しないと言っていい。しかし、IT部門と一口に言ってもインフラから公告まで幅広く存在するため、的を絞った予算の配分が常に求められる。どのIT部門にどれだけの費用を投じるのか、すなわちIT費用最適化は企業運営上で重要な要素と考えられる。(編集担当:堺不二子)