アベノミクスも効果なしか。2014年の国内企業向けIT市場は見込めずマイナス成長の模様。各地域においてもマイナス成長が予測される。IDC Japanは、国内企業向けIT市場(官公庁、教育、一般消費者を除いた国内IT市場)の2014年~2017年の地域別市場予測を発表した。これによると、14年の国内企業向けIT市場は、国内経済が改善傾向にあるものの、ハードウェア分野での更新需要の落ち込みから市場規模は、9兆9546億円で前年比マイナス1.3%とマイナス成長を予測している。
14年の国内経済は「アベノミクス」による円安、株高などの影響によって改善傾向にあり、大企業を中心に業績が回復する企業も増加した。しかし、一部地域では景気回復が遅れているため、業績が低迷し、IT支出が抑制傾向の続く企業が依然として残っている。加えて、ハードウェアの更新需要の谷間となったため。
しかし、北海道/東北地方、北陸/甲信越地方(共に前年比成長率:マイナス0.8%)、関東地方(前年比成長率:マイナス0.9%)では、小幅のマイナス成長にとどまる見込み。北海道/東北地方では、復興の進展により地場の企業でもIT支出の再開が見込まれる他、北陸/甲信越地方では、15年春に延伸予定の北陸新幹線に伴った投資が継続するとIDCではみている。
また、関東地方では大手金融機関、情報サービス業が市場をけん引する。一方、近畿地方では、同地域に拠点を持つ大手企業のIT支出の回復が遅れるため前年比成長率はマイナス1.7%になる。15年には、国内経済の改善基調が全国規模で拡大することから、一部の地域を除いてプラス成長に回復を予測しているとした。
15年以降も地域別でみると、東名阪地域を中心にIT支出は増加を予測している。しかし、その他の地域では、地場のSIer(System Integrator)/ソフトウェアベンダが、地域の産業振興を図るために再生可能エネルギー、農林水産業などの新たなIT分野に注力するケースが増加している。
IDC Japan ITスペンディング シニアマーケットアナリストの市村仁氏は「ITベンダは、地域の産業振興を図るSIer/ソフトウェアベンダに対して、ITソリューションの提供だけにとどまらず、事業推進の上で必要なノウハウの提供など広範囲での支援を行うことが、自社の地域でのビジネス拡大にも有効になる」と分析している。(編集担当:慶尾六郎)