ホンダ・シビック(CIVIC)と云えば、1972年にデビューした、ホンダの四輪車事業の基本を築いたモデルだ。1970年代に日本だけでなく米国でも大ヒットした初代モデルで、愛車デビューを飾った団塊の世代を含めた60歳代以上の「クルマ好きの“Old Hondaファン”」も多いのではなかろうか?
初代CIVICには、歴史的にたくさんのニュースがあるが、真骨頂は米ビッグスリーをして米議会に撤回を訴えたとされる排気ガス規制法「マスキー法」を世界で初めてクリアした「CVCCエンジン」搭載が挙げられる。
世間ではホンダはスポーツカーのメーカーだと思われている側面があるが、自動車メーカーとしての地位を確立したのは、環境性能基礎技術の確立で市場から認められた経緯があるのだ。
しかし、そのホンダの根幹を支えたCIVICが2010年をもって日本市場から消えている。が、北米や欧州ではホンダの基幹車種であることに変化はない。
2014年3月4日からスイス・ジュネーブで開催される「ジュネーブモーターショー」(一般公開は3月6日から16日)で、欧州仕様ホンダCIVICの「Honda CIVIC TYPE R Concept」を世界初公開する。プレスリリースの発行元は、Hondaの英国法人・ホンダモーターヨーロッパ・リミテッドである。
このコンセプトモデルは、欧州仕様のCIVIC(5ドアHB)をベースに、より高い走行性能によって走る楽しさを生み出すスポーツモデルとして開発中の、「シビック TYPE R」のデザインの方向性を示すコンセプトモデルだ。
TYPE Rで注目すべきは、昨年の東京モーターショーで展示した、走りと燃費を高次元で両立させる新世代パワートレイン技術群「EARTH DREAMS TECHNOLOGY(アース・ドリームス・テクノロジー)」のひとつとして、小型車および中型車に最適な直噴ガソリンターボエンジン「VTEC TURBO」をみせた。このエンジンは、独自の「VTEC」をはじめとした可変動弁機構を適用し、高流動燃焼を用いた直噴ターボ過給による出力向上でエンジン排気量をダウンサイジング。加えて徹底的なフリクション低減により、クラストップレベルの出力性能と環境性能を両立している。排気量は2.0/1.5/1.0リッターのバリエーションを設定し、今後グローバルで発売するモデルの特性や地域ニーズに合わせて順次採用するとしていた。そのなかから今回は、最もホットな2リッター直噴ガソリンターボエンジンを選択・搭載する
このパワーユニットは、VTEC、高出力型ターボ、直噴技術、高性能冷却システムにより高出力・高レスポンスを実現。最高出力280ps以上の高出力を発揮するという。また、2014年より施行される欧州の排出ガス規制「EURO6」への適合という高い環境性能を両立したハイパフォーマンスエンジンだ。このエンジンを初搭載するTYPE Rは、加速性能、ハンドリング、燃費性能を高次元で両立したモデルだ。欧州での発売は2015年を予定しているという。
日本での発売などについては、まったくアナウンスはない。が、過去ホンダは、2009年に2010台、2010年に1500台の限定で「欧州仕様CIVIC TYPE R」を限定発売した実績がある。恐らく、以前と同じ限定ながら、ホンダファンの期待に応えてくれるだろう、と思う。(編集担当:吉田恒)