日本百貨店協会が発表した3月の百貨店売上高は6818億円あまりで、前年同月比25.4%と大幅に増えた。消費増税前の駆け込み需要が下支えしたが、その勢いは前回の引き上げ時(97年3月の23%増)を上回る。
3月の前半は気温が低く、大雪に見舞われた地域もあったが、後半は回復。増税前に高額品をまとめ買いしようと、顧客が押し寄せた。入店客数は「増加した」店舗が「変化なし」の2倍以上。
都市部のみならず、苦戦が続いていた地方百貨店でも、軒並み2ケタ増の売上を記録した。東京・大阪・名古屋などの10都市では前年同月比3割増、10都市以外も2割増で、駆け込み需要の大きさを伺わせる。
テレビなどでは、デパートの化粧品をまとめ買いする女性たちの姿がよく報じられた。化粧品の売上高は、2月に前年同月比+11.7%だったのに対し、3月は+61.2%と急伸。高級時計や宝石などの「美術・宝飾・貴金属」も、前年同月比+113.7%と著しく増加した。これらの化粧品や高級時計、宝飾品などを含む「雑貨」の伸びは前年同月比7割増しで、統計開始以来もっとも高い伸び率を記録している。
靴やアクセサリー、ブランドバッグ、財布などの「身のまわり品」も前年同月比+38.6%で、同じく統計開始以来、最高の伸び率だった。売上の3割強を占める衣料品も18.5%のプラスと、久々に2ケタ増。
家具も前年同月比64%増、家電は53.2%増を記録した。4月以降の需要を先食いした面も大きいが、全体的にかなりの活況だったといえる。高額品とは対照的に、惣菜や菓子など食料品については、大きな駆け込み需要はなかったようだ。一部でワインなどのまとめ買いが見られるにとどまった。
消費税が8%に上がった4月以降、東京地区の売上高は前年を15%ほど下回る水準で推移している。だが日を追うごとに減少幅は縮小しており、銀座や新宿の百貨店では、訪日外国人による消費が売上を下支えしているという。(編集担当:北条かや)