巨人の星や明日のジョーというと、50代半ば以上の人々にとっては、熱い想いがこみ上げてくる昭和の熱血根性漫画だ。巨人の星は星飛雄馬、明日のジョーは矢吹丈(ジョー)が主人公だ。明日のジョーは、連載中の社会的反響が特に大きく、ジョーのライバルである力石徹が死んだ時には実際に葬儀が行われたり、よど号ハイジャック事件では、ハイジャック犯が「われわれは明日のジョーである」と声明を出したほどである。
こんな熱い昭和時代を彷彿させる動きが、時代の最先端である電子書籍市場で起きている。4月18日のアマゾンのKindle本ランキング1位に踊り出たのは、「常識を疑え!!下巻: 海外武者修行編」というタイトルからして熱い電子コミック書籍だ。
原作は、1999年創業から15年で、日本3社、海外12社を有するグループ企業に育て上げた、ユビキタスグループ・最高経営責任者(CEO)の高木純氏。彼の半生を描いたノンフィクション漫画シリーズ第2弾だ。
「高木純は29歳にして海外にでる決断をし、シンガポールを拠点に選ぶ。シンガポール大富豪の教えを忠実に、輝かしい成功を・・・!と思いきや、次から次へと新たな壁にぶつかる」、「投資詐欺、ビジネスパートナーの裏切り、商習慣の違いから発生する契約不履行など。東南アジアの地で、言語、商習慣の違いの中を必死で生き抜く、まさに武者修行の8年間」というまさに王道の熱血根性物語である。
バブルの時代、昭和の終焉と共に、こういった熱血根性物語は、人々から求められなくなるばかりが、茶化される対象になってしまった。その代わりにトレンディ・ドラマに象徴されるような、軽くて、おしゃれな物語が受け始めたのだ。しかし、平成も四半世紀を越えて、同書がナンバーワンになるというのは、時代はまた熱血根性物を求めている証なのだろう。この「熱血漢」である現在37歳の高木純氏の今後の動向に注目してみるのもいいかもしれない。(編集担当:久保田雄城)