MotoGP2014年シーズンはカタール・ドーハのロサイル・インターナショナル・サーキットで開幕を迎えた。23日に行われたカタールGPの決勝レースは波乱の展開となった。
気温20℃、路面温度18℃というコンディションで迎えた決勝レース、予選でポールポジションを獲得したのは昨年王者マルク・マルケス(レプソルホンダ)だったが、ホールショットを決めたのは予選5番手、2列目スタートとなったホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)だった。
J・ロレンソはロサイルを得意とすることもあり、抜群のスタートを決め、トップのままその速さを見せるかに思われた。しかしオープニングラップ、コース終盤の左コーナーでJ・ロレンソがまさかの転倒。1周もすることなくレースを終えた。
ロサイルは右コーナー10、左コーナー6という左右のコーナー数に差があるテクニカルなコースと言われているが、タイヤの温まりが悪いとされる左コーナーでの転倒者が相次いだ。2周目には4位走行中のアンドレア・イアンノーネ(ブラマックレーシング)が、7周目に先頭を走っていたステファン・ブラドル(LCRホンダ)が転倒、レース終盤ではブラッドリー・スミス(モンスターヤマハテック3)、アルバロ・バウティスタ(GO&FANホンダグレシーニ)が転倒するなど、上位陣の転倒・リタイアが目立ち、決勝レースはサバイバルレースの様相を呈した。
この波乱のレースの中、ジャンプアップしてきたのが予選10番手、4列目スタートのバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)。V・ロッシは波乱のレース展開の中、7周目には2位まで順位を上げ、レース中盤からはM・マルケスとV・ロッシの一騎打ちの展開となった。
レース終盤、残り2周というところでV・ロッシはM・マルケスとぎりぎりの攻防を繰り広げたが、ファイナルラップはM・マルケスが追いすがるV・ロッシを突き放し、0,259差で昨年の雪辱を果たした。右足を負傷し、テストもほとんど行えず不安視されていたM・マルケスだが、2014年初戦は連覇に向けて幸先の良いスタートを切った。
V・ロッシはカタールGP2年連続の2位、序盤出遅れたものの、着実に順位を上げたダニ・ペドロサが3位、昨年CRTクラストップのアレイシ・エスパルガロ(NGMモバイルフォワードレーシング)がオープンクラストップの4位に入り、シーズン前テストだけでなく、レースでもその強さを証明した。
2014年MotoGPは大幅なレギュレーションの変更が行われ、新たにファクトリーVSオープンカテゴリーという構図が生まれた。ファクトリーに厳しい規制が課せられる新しいレギュレーションにより、勢力図が大きく変わると見られたMotoGP。予選では従来の勢力図を覆す可能性も見られたが、決勝レースではファクトリー勢が表彰台を占める形となった。
また、特例レギュレーションにより、ファクトリーとオープンの中間という立場で参戦し注目されたドゥカティだが、決勝レースではアンドレア・ドヴィツィオーゾが5位、移籍が注目されたカル・クラッチローは6位というまずますの結果となった。
今シーズンも序盤はホンダVSヤマハの構図となりそうなMotoGPだが、シーズン中のエンジン開発凍結、タイヤ・燃料などのアドバンテージを考えると、今後はドゥカティやオープンクラスの躍進の可能性は大いにある。
さらに、今シーズンでの引退を示唆し、去就が注目されるV・ロッシだが、初戦ではM・マルケスとぎりぎりのデッドヒートを展開し、絶対王者としての貫録と存在感を見せつけた。今シーズンはV・ロッシの復権も注目したいところだ。
新しいレギュレーションにより今後の展開が未知数となっているMotoGP。次戦はアメリカGP、サーキット・オブ・ジ・アメリカズでのレース。MotoGP開催2年目という新しいサーキットなだけにドゥカティやオープン勢がファクトリー勢の牙城を崩す可能性にも期待したい。(編集担当:熊谷けい)